ながみ

マッシブ・タレントのながみのネタバレレビュー・内容・結末

マッシブ・タレント(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじの時点で面白そうなのは察していたが、実際劇場では思わず笑ってしまうシーンも何度かあるほどコメディの成分が含まれていた。といっても、PG12どおり大人向けといった感じだ。LSDをさらっとやるな。無言で爆笑した。
コメディではあるが、その中には映画スターとして生きてきた男の苦しみもしっかりと描かれている。ニコラス・ケイジ本人役を本人がしているので果たしてどこまで当人のエピソードなのか判断できないところではある。
これは入れ子構造の映画だ。何重にもそうなっている。映画の中の彼ら、そしてその映画を見ている現実世界の私達。次第に現実と映画が混ざっていく。それは映画で演じていた役が現実になってしまうように。彼のしてきたことは決して無駄ではないと、肯定されているような気分だった。仕事に邁進するゆえの家族との溝にも苦しみながら、彼は映画スターである自分と本当に大切なものを抱える自分との折り合いを見つけていく。

とまあ、真面目な話はおいておくと。
ペドロパスカル演じる大富豪のハビがそれはもうすばらしく可愛らしい。とにかくずっとニコラス・ケイジのファンの彼は同時に最高の友にもなっていく。初めて会うときも過剰なファンであることを隠す。影から見守ってテンション上がる。俳優をやめると聞いたら必死で説得する。映画の話を何時間でもして推しが主役の映画脚本だって書いてしまう。彼のグッズ専用の隠し部屋もある。そして嫌われちゃうかも…と不安になる。
同じように推しを持つ人ならわかるだろう行動で思わず微笑ましくなってしまう。でもLSDキメたまま運転はするな。
彼らの美しい友情のありざまを見る。映画の中の映画もそうだったように、まさにこの二人を捉えた映画なのだ。

とりあえずパディントン2を見よう。
ながみ

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