き

戦場のピアニストのきのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.0
12年以上前、子供の頃に一度見たきりだったので大筋だけ記憶しており細かい部分はすっかり抜けてました。のでほぼ初見に近い状態で鑑賞。

本当に素晴らしい映画。
実話ベースの作品であるという事を殆ど忘れていた為、終盤の劇的な展開に際しそれを思い出し「こんなことが現実に?」と驚かされました。

内戦の痛ましさを、生々し過ぎず、しかしかつリアルにじっくりと描いているため観客の意識がすっかり映像の世界に引き込まれる。
その地獄のような日々に段々とやつれていくシュピルマンの姿…
けれど、どんなに体はこけて精神が削られても、彼の心には音楽があり、奏でる自分を想像するシーンでは彼の顔色がぱっと良くなったような、一気に活力が戻ってきたような印象に変わるのが素晴らしい。
ホーゼンフェルトが薄暗がりの中でシュピルマンの演奏する姿を観て感嘆する様は宗教画のようで印象的でした。
(ホーゼンフェルトがシュピルマンに対して使うドイツ語は敬語になっているようですね。字幕では分からなかった…そのあたりはちょっと不親切だったかな。文字数などの問題があるのでしょうが敬語のままにして欲しかった)

実際のホーゼンフェルト氏はシュピルマンを助ける前から、ユダヤ人を含むポーランド人を秘密裏に匿っていたんですね。
悲しい最期を遂げたようですが…
ドイツ兵士達がユダヤ人虐殺マシーンと化してしまったのもすべては戦争のせいだと思うと、戦争の悲しさを痛く感じます。
き