悲惨なホロコーストの実情を描いた歴史映画としても、ひとりのピアニストを描いたいち映画としても素晴らしい作品だった。
終盤ぼろぼろになったウワディクがピアノを弾くシーンが有名なわけだけれども、初めは小さな、控えめな音だったものが弾いているうちにどんどんダイナミックになり、彼が一気に音楽に没頭していく姿からは目が離せなかった。
ホロコーストの犠牲となったユダヤ人たちの苦しみや辛さは、作中もちろん表情や言葉でも表現されていたけれども、ウワディクに関しては彼の音楽を通して彼自身の感情を読み取れたような気がする。