ほーりー

戦場のピアニストのほーりーのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.3
ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺について描いた映画というと「シンドラーのリスト」も有名だけど、個人的にはこちらの「戦場のピアニスト」の方が好き。

ポーランドを代表するピアニストだった、ユダヤ人ピアニストのウワディスワフ・シュピルマンの体験記をベースにし、1939年のナチのポーランド侵攻から1945年のドイツ降伏までの期間を、タッチは淡々としながらもナチスのユダヤ人の迫害の歴史を描く。

この映画を観るまで、ナチス占領下で何度かユダヤ人やポーランド人によって大規模な武装蜂起があったなんて知らなかった。

エイドリアン・ブロディは本作でアカデミー主演男優賞を獲得しただけあって、栄養失調でガリガリにやせながらも生き抜く姿に凄まじさを感じるが、やっぱり何と言っても一番の名場面は、廃墟の中で、外の灯りに照らされながら、「月光」を弾くシーンの荘厳さ。

主人公のピアニストは、ナチスによって家族や友人を失うが、あくまでも主人公の視点で描かれているため、強制収容所行の輸送列車に乗せられたりとか、ゲシュタポに逮捕されたりとか、それ以降、彼らがどうなったかは劇中では明らかにされていない。

それがかえって怖い。

このようなホロコーストの映画を観るといつも思うのが、どうしたら人間って同じ人間に対してこんなに残虐になれるのだろうということ。
つい最近のロヒンギャ難民のニュースとか見ていると、元々、人間ってそんなものなのかもしれないという気がする。

それだけにラストのドイツ兵の勇気ある行動に心打たれる。

■映画DATA==========================
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロナルド・ハーウッド/ロマン・ポランスキー
製作:ロマン・ポランスキー/ロベール・ベンムッサ/アラン・サルド
音楽:ヴォイチェフ・キラール
撮影:パヴェル・エデルマン
公開:2002年9月25日(仏)/2003年2月15日(日)
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