シュピルマンの生命力の強さと、人脈の広さと、強運は驚くほどだったけれども、簡単に言葉が出てこないほどには重い。
実話に基づいており、展開も不幸せなものが多いにもかかわらず、ホロコースト映画にしては抑えめな描写がされているからこそ、伝わってくるもの、後味が生々しく残る気がする。いわゆる“残酷”で“グロテスク”な映像に衝撃を受けて終わってしまうような作品ではない。
人間は時に人を差別し、憎み、危害を加え、しかし時には憐れみ、優しい手を差し伸べたりもする。全くと言っていいほど訳の分からない生き物である。周囲をとりまくささいな環境の変化や、その場の感情によって味方にもなり得れば、敵にもなり得る。
ただ、ピアノは弾けるようになりたいと思った。これから休みの日はピアノの練習にでも明け暮れようかなと思うほど。あと、主演のエイドリアンブロディの顔立ちが美しすぎて尺の長さについてははほとんど気にならなかった。