Yuuki

戦場のピアニストのYuukiのレビュー・感想・評価

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)
4.5
現実は残酷で哀しく、そして美しい。

本作は、実在したユダヤ系ポーランド人のピアニスト、シュピルマンの回想録『ある都市の死』をもとにした。
メガホンをとったのは、ロマン・ポランスキー監督。彼自身、『シンドラーのリスト』の舞台にもなったポーランドのクラクフで育ったホロコーストの犠牲者でもある。

題名にもピアニストと表記してある通り、ピアノ演奏が作品の重要な要素のひとつとなる。劇中流れるピアノ曲のほとんどはポーランドの巨匠ショパンの作品。
映画の冒頭で主人公がラジオ局で演奏するショパンの「夜想曲20番」。クライマックスでも同じ曲を弾くシーンがあり本作のテーマ曲とも言える曲だ。
また、本作でいちばん印象深いシーンは、ドイツ軍人将校に命じられショパンの「バラード第一番ト短調」演奏するシーンだ。ユダヤ人弾圧が始まって以来、ピアノに触れる機会を与えられなかったシュピルマンにとってその時は嬉しさはもちろんのこと、悲しみや恐怖など様々な感情が入り混じっていたことだろう。
主役を演じたエイドリアン・ブロディはスタントなしで演奏に挑んだという。

ホロコーストというテーマを扱いながらも、途中微かに見える希望。平和ボケしがちな現代において、自身の人生についてもう一度よく考える機会を与えてくれる作品かもしれない。まだ未鑑賞の方には、今すぐにでも観て欲しい。
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