どこからともなく聞こえた音色で争いが終わる、そんなファンタジーは無い。
モノクロの鍵盤 廃墟立ち並ぶ線の上
身を隠した部屋にはピアノ、踊る弾く手に静けさのみが響く。
当たり前に戦場はピアノを弾ける状況にない、弾くことを失ったピアニストは何者か…愚問。
音楽で生きた頃の気品は廃れ、身なりは見るも無惨に荒んでも、心は覚えてる指が奏でる。今日を食いつなぐのにも精一杯だったあの場で、何の役にも立たなかった埃まみれのガラクタから出た音が曲になる。曲が話す、言葉は要らない何かが変わる、共鳴する。
武力や争いが一体何になる、音楽で人の心を動かせる方がよっぽど凄い力じゃないか。
2020.303