ねこたす

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェストのねこたすのレビュー・感想・評価

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1作目の酷さを考えると、すごい名作に思える不思議!
wikipediaに3作分合わせて上映時間が書かれていて、なるほど。これはロード・オブ・ザ・リングのような映画なのだと。壮大な冒険活劇を3作に割るも、全貌を描くには上映時間が伸びるのも致し方ないのか…?

いやいや、あまりにも語っているものが薄っぺらいんだよなあ…。1作目よりはマシになっている。前作がキャラの紹介やら物語の説明に追われた"起"だとするならば、今作は"承転"だ。予め示された関係性を深めていくことが可能になり、セリフ回しも説明的ではなくなっている。

それでもLotRと比べると(比べるのが正しいのかは置いておき)、描かれる世界が小さい。いくらカリブ海とはいえ、海を題材にしているのだから例えば地図を出してここからここまで移動しました、っていうのが分かれば少しは世界観も補完できるし、世界を大きく感じられる。
海は結局どこまでいっても海なので、陸地と船の上で話が進むと窄んでしまう。中つ国はやっぱり広大だったよなあ。

それに、描かれる人物もそう多くはないのに、どうしてもっと掘り下げられないのだろう。確かに楽し気な会話が続くのだが、そこを練られればもっと良い作品になったんだろうなあ。

それでも、今作は比べ物にならないほど良くなっている。まず、戦闘シーンがとても見やすくなった。お昼に戦ってくれるからね。
前作は設定上夜の戦闘が多く、誰が何をやっているか把握が難しかった。今作ではアクションシーンがほぼ太陽の下で行われるので、単純に良かった。
とくに、砂浜での戦闘シーンは画面から無駄なものが削ぎ落され、整理されている。前作では彼らがなぜ戦っているかが分からないと書いたが、この三つ巴では一つの物を争っているにも関わらず、それぞれの理由がきちんと把握できた。
自らの自由の為、親子の絆の為、名誉の為。そして、見守る女性を取り合う3人にも見えるので厚みが増している。

前作ではコメディな役どころだった2人のキャラクターも、セリフ回しだけでなくアクションやストーリーに絡んでいるので、この辺りも改善点だろう。

そして、この映画に付け足された二つの要素がまた楽しい。食人とモンスターだ。知らずに見たので、まさかこういったメジャー作品でも食人風習を拝むことができて幸せなのである。
正直に言ってしまえば、この件は無くても物語に支障はないので、なんとも微妙なところであるのだが…。
っていうか、犬の鍵がキーだと思ってたら、あれ関係ないんだね。とんだミスリードだ。

モンスター要素がまた良い。退屈でワンパターンになりがちな船の上の海戦を、緊迫感を持たせつつも楽しいアクションシーンに昇華させている。全体像が分からないのに、めちゃめちゃにされるこの感覚はモンスター映画を見ている楽しさと同じだ。

狼狽えるジャックをよそに、的確な指示を出すウィル。見た人が誰もが思うことだろうが、彼こそ船長に相応しい。最初は海賊なんて大嫌いだ!という感じだったのに、それが揺らいでいく。
べスもベスで、ウィルから戦闘を学んだということもあり、剣捌きを披露し、戦いに加わる。「俺を誘惑してみろ」という問いに対する答えもなるほどと納得させてくれる。

二人が海賊的になる一方、ジャックは狂言回しのようになっていく。まあ口が武器だったということもあり、それはそれでよいのだろう。

"結"には至らないが、ライバルが仲間に加わり~という引きは次の作品への期待へと繋がるし、前作の汚名を返上するような作品だった。