洋画好きのえび

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェストの洋画好きのえびのレビュー・感想・評価

4.0
パイレーツシリーズ第2作!今度の敵は深海の悪霊デイヴィ・ジョーンズ。前作をはるかに上回る強敵に、ジャックもウィルも打つ手なしか?と思わせるハラハラドキドキの冒険活劇。ストーリーはいろいろ詰め込みすぎた感はあるけれど、キャラクターの魅力と大迫力のCG映像で結局大興奮してしまう。今観てもやっぱりおもしろいなぁ…

キャラクターの魅力は前作のレビューで語り尽くした感があるので、本作は別の視点からレビューしたいと思う。本作のおもしろいところ、それは、史実と海の言い伝えや伝説をうまくミックスしたところだと思っている。
本作の舞台は大航海時代。未知の大陸や島国に乗り込んだ欧米人たちは、それらの国で得たものを世界中で売りさばき、莫大な利益を上げていた。特に覇権を競っていたのは、イギリス、オランダ、スペイン。そこで登場するのが、本作のキャラクターであるベケット卿が所属するイギリス東インド会社。現代でいう国有会社だ。イギリス東インド会社が莫大な利益を上げたことにより、イギリスも莫大な利益を得て、後に大英帝国と呼ばれるほど強大になった。そんなわけで、ベケット卿がめちゃくちゃ偉そうだし、強引な手を使いまくってもお咎めなしなのである。なにせバックに国王がついているのだから。そして、ジャックへの恩赦としてベケット卿がちらつかせる「私掠許可状」も世界史上重要なアイテム。イギリスのエリザベス一世は、当時敵対していたスペインを蹴落とすために、海賊を利用する政策をとった。私掠許可状を与えた民間船に、イギリス船籍でない船を襲い、積荷を奪うことを許可したのだ。つまり、私掠許可状を持っていれば、イギリス公認で略奪行為をやり放題&逮捕は無しというわけ(気になる方は「フランシス・ドレーク」で調べてみてください)。そこから、「ジャックはそんなの自由だとは認めないと思うけど」というセリフが出てくるわけで。私は世界史、特に英国史大好きな高校生だったので、このあたりの史実がうまく反映されたストーリーにものすごく興奮した。勉強したことがそのまま映画に出てる!すげ〜!!と、一人変なポイントで感動していた。
そして、フライングダッチマンとデイヴィ・ジョーンズは欧米では有名な海の言い伝え。フライングダッチマンは、喜望峰で目撃される幽霊船の話。また、海底のことを欧米では"Davy Jones' Locker"(デイヴィ・ジョーンズの監獄)と言うらしく、デイヴィ・ジョーンズの設定はまんまここから。ヌルヌルタコな見た目は映画オリジナルのようだけど。欧米人だと、このあたりがめちゃくちゃしっくりくるんだろうなぁ…日本人だからあまりピンとこなかったけど。

ラストの例のあの人の登場から、イスラデムエルタ以上に謎に満ちた場所へ冒険が加速する第3作。あの大海戦が今から楽しみだ!!