アネモネ

くじらびとのアネモネのレビュー・感想・評価

くじらびと(2021年製作の映画)
3.8
これは絶対映画館で観るべきドキュメンタリーです!
映像美や迫力は勿論のこと、この地で生きる人々の目力や顔に刻まれた皺1つ1つにもドラマがあり、大きな画面で観る意義があります。


400年先祖代々続く鯨漁だけあって、
伝統的な先人の教えを守り、変わる事なく自然と鯨に感謝しながら漁をするラマファ達と村人を観て、同じ時を生きているはずの私達が失くしてしまった「何か」が静かに心に刺さります。

村を支える鯨は、しっかりとした分配の元に平等にわけられて、食料としてだけじゃなく灯りにもなり、人々が共に支え合い生きていくという大切な繋がりになっていました。
壮絶な鯨漁の事だけではなく、しっかりと村の人々の今を描いているところが素晴らしいです。

もちろん海のシーンは圧巻!
それぞれの船が大海原へ向かう場面の映像の美しさは言葉にならないし、
漁法なんて空いた口が塞がらないくらい驚きました。
撮影の大変さは想像すらできません。
なんといっても鯨を仕留めるシーン、真っ赤に染まる海と鯨とラマファを撮った映像が凄い。
命をいただくって、こう言う事なんだと改めて気付かされます。
目の話や、
全て手作りだったり、鯨を切るところだったり
書き残したい事はいっぱいあるけれど、
あんまり書くとネタバレになってもったいないのでこの辺で辞めておきます。

先人の教えと伝統、命をいただくからこそ命をかけていること、故の別れがあり、継ぐ者がいる。
あの笑顔がかわいい子供の将来はどんなだろう。
とにかく、この村の方々とここまでの映像を撮れる信頼関係を築いた監督の想いが伝わる映画でした。
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