ヴァネッサカービー目当てで離婚して再婚した父親の元へ元妻と暮らしてた息子が突然やってきて親子の絆を取り戻す物語だと思っていましたがそう単純ではなかったですね。
この映画はポールダノに目と鼻だけが似ている息子が初っ端から感情を爆発させたりドストレートな物言いという普通ヒューマンドラマの中盤から起こりそうなハプニングが度々起こるので親子の絆以前の問題でした。
そもそも元妻のローラダーンの何が嫌なのか不透明ですし父親となら楽しくなるかもという後先考えない単純な動機なんでいざ暮らしてみるとそういえば妻子いるじゃんと疎外感で一人で苦しみを抱える始末です。
かなり感情的で人生つらい苦しむのに疲れた発言や理由を問われてもわからないの一点張りに何考えているかわからないポールダノの烙印を押そうかと思いましたが小説？文章を書くのが趣味らしいんで心の葛藤を吐露する時の伝え方が上手いんですね。
わからないとは言いつつもちゃんと自分を客観視できているのに内なる闇に呑まれそうになる様にこんな息子に生まれたてほやほやの息子がいる新生活に突如介入された妻のヴァネッサカービーが一番かわいそうですよ。
ヒュージャックマンにいいかな？息子を住ましてもという提案に言葉を濁すヴァネッサ、何だその反応は？リストカットしてんだぞあの子は助けてやらんとと震えながら返すヒューにいいわよと承諾するヴァネッサにもうすでに私は心が痛いです。
そんな女神のようなヴァネッサに息子は躊躇なく父さんが既婚者だって知ってたんだろ、なんでやめなかったんだ？なんでやめなかったんだ、とかあんなイタズラしたりと赤ん坊の世話で忙しい父親の新妻によくそんなことが出来るなと。
女性って産後鬱とか生理とか育児で不眠になったりと専業主婦だから暇なわけではなくいわばボランティアで大変な思いして家庭を支えてるんでしょ？ネットで見ましたよ。
そんな状況下で爆弾息子を家庭生活に投げ込まれたヴァネッサが爆弾妻にならないかヒヤヒヤしますし感情移入したくないくらいヴァネッサが怖くも見えました。
それに無頓着な息子と俺の息子だからで押し通すヒューに疲弊させられるヴァネッサですが気丈に振る舞う姿に彼女こそが物語上一番強い人間であると私は思いたい。
この映画はほぼヒュー目線で進むので息子が何やってるのか何考えてるのかスマホゲーやSNSしてるのかなどわからないことだらけで途中もしや真実の行方のエドワードノートンみたく鬱病は嘘だよ父さんの新しい家庭を崩壊させるのが目的だよヘヘっという展開になるのかと一瞬焦りましたがファーザーの監督がそんなことするわけありませんでした。
でも父親のヒューに息子のポールダノでしょ、ドゥニのプリズナーズを観ているかのような感覚に一瞬陥りましたし例え二人が笑顔であるとしても不穏な空気が漂い続けていました。
ヒューとヴァネッサとポールダノが三人一緒に楽しくダンスするシーンで夫婦の盛り上がりも最高潮に達する中で少し距離を置いてあんな露骨に真顔で棒立ちしている息子には不覚にも笑ってしまいましたねもうコントでしょあれは。
