てんむす

ちょっと北朝鮮まで行ってくるけん。のてんむすのレビュー・感想・評価

4.0
恥ずかしながら北朝鮮帰国事業の歴史についてほとんど知らなかった。

20歳も年上で何十年も会っていない家族に会いに行こうとするのがそもそもすごい。
家族の縁が良く切れないものだなと思った。
だからこそ、国の事情で会えなくなってしまう中での絆のようなものを力強く感じた。

北朝鮮の映像も結構豊富で、だいたいがよく見る風景だったけど、田舎とかはそんなにみたことなかったので新鮮だった。

恵子さんも愛子さんもパワーがあるというか辛気臭くないので、暗い気持ちになることはなかった。
二人が再開するシーンではかなりグッとくるものがあった。
劇場でもすすり泣きの音が結構聞こえるくらい。
会ってからのやり取りも信頼感を伺わせる感じで関係性がそのまま出てるのも良い。

愛子さんの手紙の最後にいつも「はしたない姉より」とか「馬鹿な姉より」と書いてあるのもなんとも言えない気持ちに。

会えない間の数十年の気持ちの変遷も映画では描ききれないほどあるのだろうけど、とても伝わってきた。
とくに恵子さんが語る部分は数少ないこういった経験を持つ当事者の貴重な意見。

愛子さんの家族と海で食事をするシーンもなんだか北朝鮮の映像とは思えない感覚になるのだけど、歌を歌うとやっぱり将軍様が出てくるのだな。

twitterのレスを取り上げて「自己責任」と言われがちな風潮を問題視するのだが、国民的問題というほど認識されていない現在ではどの程度の温度感なのか図りきれない。
だから団体とか立ち上げたり、そもそもこの映画の価値があるのだろうけど。