Saki

流浪の月のSakiのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.4
李相日監督が好きだからずっと楽しみにしていたし、地元の地域で撮影されたこともあって観る前から思い入れが強い作品だっただけに、正直な感想としてはなんか惜しい。
『悪人』と『怒り』は越えられなかった。

途中まではよかった。登場人物それぞれの思いにどれも共感できて、誰も悪くないけどうまくいかない。繊細な描写がとてもよく、ところどころ現れる月、満月のタイミングも見事に計算されていた。そのためどんどん期待が高まってラストはどんな形で帰結するんだろうと思ったのだが、真実がわかっただけで何も解決していないし盛大に散りばめた数多くの与件を回収せず説明不十分なラストに少し呆気を取られた。
「流浪の月」この意味を語るのに最後の数分では足りなすぎるし、気になり過ぎて小説のこと調べたら小説の方がちゃんと結があって納得いく結末だった。ということでなんであの形で終わりにしてしまったんだろうと、李相日監督なのにほんのちょっとだけがっかりした。
あ、家で観てた映画がパプリカだったのと、転がってたDVDが今敏監督作品だったのは少し嬉しかった(笑)

役者について
広瀬すず、横浜流星、松坂桃李の演技はすごいしこれは絶対今年の日本アカデミー賞取ること間違いないけど、多部未華子はちょっと薄かった。それよりも白鳥玉季ちゃんの声と演技がすっごい好きだった。
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