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流浪の月のnamのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.4
「社会の闇を彷徨いみつける心の居場所」

原作は未読。
2時間半引き込まれる素晴らしい作品でした。

新書の「映画を早送りで観る人たち」が話題ですがセリフや情報だけを追うそんな視聴では絶対に味わえない間やちょっとした表情の変化で表される心の機微、映像の美しさなどが詰まった作品でした。

誘拐犯とその被害者という関係性、社会からの見え方の裏にあるそれぞれの想いや、トラウマ、社会の闇という世間に居場所のなくなった2人が歩み寄っていく姿をゆっくりと丁寧に描いてました。
どこにも居場所がないからこそその心の傷を癒す存在としての関係性がとても美しかったです。

背景的にも状況としても難しすぎる役どころを広瀬すずさん、松坂桃李さんの圧巻の演技で表現されており2人の演技が本当に素晴らしかった。
さすがに日本アカデミー賞も無視できないのではないかというくらい凄まじい演技でした。

さらにポン・ジュノ監督と「母なる証明」や「パラサイト半地下の家族」を撮ったホン・ギョンピョさんが撮影監督なためその映像のルックの素晴らしさも邦画離れしてました。

特に1番大事なラストのあるシーンの光や人物のバランス含め芸術的でさえありました。

今年を代表する邦画の1本だと思いますのでぜひ多くの方に観てほしい作品でした。
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