れいさんるるる

流浪の月のれいさんるるるのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.0
ちょっとネタバレ入ってるかも!!です。


「さらさはさらさだけのものだ」
「人は見たいようにしか見ない」

この2つのセリフがすごく心に響いた。
子役の子含め、俳優さんみんな素晴らしかった。引き込まれました。

観賞後、まず思ったのは
どんな事件にも、当事者の事情や、背景があるのに私たちは報道されたものしか知り得ない。それをそのまま信じることはとても怖いことだなということ。

人間は基本的には知りたがりなのだと思う。少なくとも私はそうです。(笑

大袈裟に書かれた記事や報道をそのまま鵜呑みにし、さらに悪意で曲げられたり、自身が目立ちたいがためにネットに挙げられた情報に触れ、それをそのまま信じてしまう。それは、当事者を傷つける人になる道、まっしぐらですね。

象徴的だったのは、主人公さらさの勤務先のちょっと年上の主婦たち。演技が絶妙!主婦の「あるある」感がお見事でした。
訳ありのさらさの過去と今の生活が気になって仕方ない感じがすごく出ていて。
「味方だよ」「心配してるよ」と言いながら、自分の「知りたい」という欲を満足させているように見える。悪意はないところが余計ドキッとする人たちだったー。

知らぬ間に、意識せず、他人を傷つけていないか、誰かを傷つけるその他大勢の一員になっていないか、私は気をつけよう。

すずちゃん。
私はすずちゃんの声も演技もがすごく好きで、セリフを言う前にじーっと考えたりする表情や仕草がとても大好きなのですが、この映画では静かな迫力に満ちていて、なんというか圧倒されました。これからもずっと見続けたい、そう思いました。

松坂桃李君。
最初、え!?って思うくらい、普段の優しい笑顔とか話し方とかすべて消し去っていて、かなり影のある役を見事に演じていて、、脱帽です。ラスト近くのあのシーンは私も泣きました。

横浜流星君。
これまたすごい役を見事に。。
「新聞記者」もよかったけど、さらにすごい。一見爽やかだけど、内面かなり捻れてる感じが絶妙でした。
暴力シーン、怖かった。。
さらさ、ふみと違って、りょうくんという人は実際に「いるいる」感がすごかった。こういう感じの人、実際にいますよね。

お話は重く辛い場面もありますが、
さらさがアイスを食べるシーンとか、
素敵なカフェとか、りかちゃんとの3人のシーンとか、足漕ぎボート漕ぎながらお話するところとか、ほっとできる素敵な場面もいくつもあります。

見てよかった。おすすめです!

余談ですが、すずちゃん、お姉さんに似てきたなあって思うシーンがいくつかありました。