このレビューはネタバレを含みます
広瀬すずの成長は想像つかない。
容姿の美しさが申し分ないのに、
演技が素晴らしすぎてキャラクターを壊さない。
顔が整っていると、役を演じる上で邪魔になることがあるが、
彼女はひたすら、美しさを残しつつ自らを消す演技をする。
ただまぁ、この頃なんとなく深刻な役が多いことが気にはなるが…………。
横浜流星も整った容姿からは想像のできない演技力を発揮する。
地上波の恋愛ドラマなんかでもずば抜けているが、
どんなキャラクターも身体に馴染ませる力がある。
松坂桃李も白鳥玉季も、儚げで、泥々したものに秘められた透明感があって、美しかった。
当人にしかわからない真実、
影響力のあるものによって変えられた事実、
そのフィクションに対する偏見の目、
それらは常に私たちの周囲に蔓延り、
この世に生きる人みな、これらから逃れることは難しい。
しかしその出発点である当人が声をあげれば、
世間にとっての事実は違ったものとなるかもしれない。
このふたりはその道を選ばなかったけれど、
暗闇を明るく照らし、時に雲に隠れ、空をふわふわと漂いながら一日一日を確実に乗り越えていく月のように永遠に流れてほしい。