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ミスターX レオス・カラックスのmのレビュー・感想・評価

3.5
愛しきレオス・カラックス監督の貴重なドキュメンタリー。私たちが彼を知ることは不可能だと感じた作品。

レオス・カラックス監督は『TOKYO!』と『ホーリー・モーターズ』の二作品。
ハーモニー・コリン監督の作品『ミスター・ロンリー』に出演している、それくらいしか観ていないのに強烈に愛している男性。
その彼をMyfffでドキュメンタリーとして追ってくれたら、それは観ないわけがない!笑

ひとまずはファンの為の作品といったところかな。ドキュメンタリーとしての面白さはあまり無い。レオス・カラックス監督は全く姿を見せないし、彼の正体、ドキュメンタリーとしての魅せ方など正直美しくはない。

が!ハーモニー・コリン監督が『ミスター・ロンリー』でカラックス監督を見た時の様子や、カラックス監督のミューズ(男性にミューズって使っていいのか?) ドニ・ラヴァンさんがどれだけ監督に無理を強いられたのか、とかレオス・カラックス監督のファンにとっては悶える話だと思う。笑
ドニ・ラヴァンさんは今作に出てこない監督のかわりに、結構暴露してくれている。
「いや、もう、マジ大変だったんだよ」的に砕けて饒舌に話してくれていてニヤニヤが堪らなかった。
カラックス監督は少しのインタビューに答えてくれている程度、だけど、その言葉すべてが詩的だった。

レオス・カラックス監督と恋仲だったジュリエット・ビノシュさんは今作には出ておらず、代わりにジュリエット・ビノシュさんの姉が出ている。この本人が出ないあたりに、レオス・カラックスさんとの不穏さは感じるよね笑
昔のジュリエット・ビノシュさんはまぁ、恐ろしいほどに可愛らしい。可愛らしいけど神経をすり減らしていたのが分かる、『ポンヌフの恋人』が痛々しかった。

日本を舞台にした『TOKYO!』
東京で実際にゲリラで撮影したという裏側も見れて最高に気分がいい笑
その当時東京にいたかったなぁ。

作中の映像や裏側を見せてくれてとても満足。とくにカメラマンとのシーンは美しく、早く『ポンヌフの恋人』を見なければ。

ドキュメンタリーを見てもなお、レオス・カラックスという人物の全体像は把握出来ない。それが物足りなくもあり、それが私たちファンが求める姿でもあると思った。
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