春21号

バトル・ロワイアル 特別篇の春21号のレビュー・感想・評価

4.5
強いられた躍動する生、その禍々しさ

公開当時非常に話題になった問題作その特別編
オリジナルが公開された時に年齢制限で観れなかった人達に向けられて作られたのがこのバージョンです。

はい、オリジナルが公開された時僕は小学生1年ぐらいだったと思います。
その当時は本当に中学生や高校生などの学生が怖い存在でテレビなども得体の知れない不良供と言う扱いをしていたと思います。
悪さ上等 陰湿上等 淫乱上等 と
ニュースなどもこぞってこの世代の事件を取り上げていてキレる17歳世代なんて言葉もできましたね

そんな中で作られた本作
今見て観るとあの当時の閉塞感がよく表れていたと思います。
生徒は目が虚で大人にどこか反抗的
何を考えているの変わらない そんな感じ
あの時僕が畏怖した存在が30人程画面に映っていました。

そんな30人が無人島で殺し合いをする。
ブッとんだ設定ですね
しかし、本作はそれを完璧に全うしています。
まず、今じゃ考えられない無人島ロケって言うのが気合入りまくりです。
流石深作監督と言った所だと思います。
今じゃ絶対出来ないんじゃない?こんな根性あるロケーション、そのおかげでワンカットたりとも無駄な絵が無くて異様なまでに絵力のある作品に仕上がっている。
それと暴力描写も勿論容赦なくて、武器に疎い子供同士が殺しあうからブッチャけ仁義なき闘いなんかよりもエグいです。
狂気に染まっていく子供が本当に恐怖で…

無気力だった若者達が大人達の身勝手によって強制的に躍動させられる。
大人達の掌の上でで子供達が常に踊らされている。
これが深作節が効いた嘘くさい過剰な演技でもってよく表現されていたと思います。
テーマと演出が合致してると思いました。

はい、真に娯楽性を突き詰めた作品だと思います。常に音楽が鳴り響き畳み掛けるように名場面が登場する。ゴア描写もふんだんに盛り込まれていて最高のジャンルムービーになっている。
そして、最後のメッセージで本作は傑作になっていると思う。
若者達に向けた熱い映画に最後の最後でなっていると思う。
この映画は前述した通りあの当時の空気感があったからこそ生まれた映画だと思うが最後のメッセージで開かれたいつの時代にも通用する普遍的な傑作になっていると思う。

世論によって偏見だらけの作品になってしまったが未見の方は是非観てもらいたい
春21号

春21号