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悪魔が死んだときのdm10foreverのレビュー・感想・評価

悪魔が死んだとき(2016年製作の映画)
3.9
【模範解答】

先日「真夜中のベッドの中で」を鑑賞し、短編ホラーもなかなか余韻が楽しいなと感じたところで、そろそろ他のも観ようかね~なんてサイトを開いたら「配信終了まであと1日」の表示!
いつでも観れるからいいか・・・なんて延び延びになったまま、危うく見逃すところだった。

っていうことで、ブリリアショートショートシアターにて開催されていました「真夏のホラー&スリラー特集」を慌ててハシゴ鑑賞(笑)。
とりあえず先に見た「セバスチャンと僕たち」は先にレビュー済みということで、次に見たのが本作。

この作品はね~なかなかちゃんとしてます(笑)。

19分という尺をフルに使って、観ている側の「不安」「不穏」をキッチリ煽ったところでのオチ。
ラストのどんでん返しで「はぁぁ、なるほどね」となる。

以前にも似たようなプロットの作品を観たことがあるような気はするけど、うまい具合に最後まで気がつかなかった。

ほぼ「家の中」というワンシチュエーションでありながらも、暗闇や影の演出だったり、音による質感の表現など、映像の中の奥行きを感じられる仕掛けが随所に施されていて、このまま「長編スリラー」に持っていけるくらいの「キチンとした」作り。

(外にはゴージャーがいる)

その「ゴージャー」とは何を意味するのか?
古くはフランスの「森」に携わる職業の方に多い苗字らしいが、由来はゲルマン語で「統治する」「武装した」などの言葉にあるそうだ。
なるほど、そう考えると「外にいるゴージャー」と「それを恐れる父」という関係性がラストで逆転する意味もわかった。

人里はなれた森の中の小屋。
父と子の二人きりの生活。
霧とともに奴ら(ゴージャー)は現れる。
奴らは子供の匂いが好き。
突然家の中を覗く視線。

なるほどね。ラストでこれらの意味がわかってスッキリ。
・・・いや、スッキリするような作品ではないけど(笑)








~~以下、ネタばれあり~~




若干、先日観た「ドント・ブリーズ2」のようなテイストを感じる部分もあり。
子供はギリギリまで自分の境遇を知らずに育ったということか。
ゴージャーは子供の匂いを嗅ぎつけると聞かされ、父の衣服の匂いを顔にこすりつける仕草は、純粋にいろんな事を信じきっているからこその行動であり、ラストで事実を突きつけられたときの子供の心情を考えると、とてもハッピーエンドとも言い切れない話でもある。

「悪魔が死んだとき」

悪魔は外にいて、お父さんは自分を守ってくれている。

「悪魔が死んだとき」

全ての真実を聞かされ、それでも何故か複雑な表情を浮かべる少年の心の中には、何が正義で悪魔なのかがわかっていなかったのかもしれない。
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