私の好きなケイパーものでは相当、上位に来る犯罪映画。映画全体を覆うクールでハードなモノクロ映像がかっこええ。
主演スターリング・ヘイドンとサム・ジャッフェがいわゆる師弟関係のようなポジションに立つ辺りが、黒澤明『野良犬』や野村芳太郎『張り込み』などにも通じる。フレンチ・ノワール、アキ・カウリスマキの敗者三部作に与えた影響も大。
ギャングの親玉ルイス・カルハーンの情けなさも相当なもので、全員が「運」に見放され堕落したムードはやはりヒューストン監督ならではの批評性かと思われる。ラストの【馬】に見放されたヘイドンがとにかく哀れで仕方ない。
また『雨に唄えば』でお馴染みのヒロイン、ジーン・ヘイゲンのよろめき演技も忘れがたい。マリリン・モンローはまだこの時点では存在感は希薄だった。
通俗的ギャング映画を本作のように芸術作品のように作り替えたヒューストンの手腕はやはり凄い。個人的には💯満点の出来。