緑雨

猿の惑星:創世記(ジェネシス)の緑雨のレビュー・感想・評価

3.0
物足りないところ、ツッコミたくなるところは多々あれど、最後まで中だるみなく引っ張っていく牽引力は評価できる。特に前半部がよい。

束の間の「家族の幸せ」にふいに浮かび上がる不穏さ(国立公園ですれ違ったペット犬をシーザーが威嚇するシーンだとか)。認知症が再発して隣人に攻め立てられるジョン・リスゴーを守ろうと、シーザーが暴発するシーンは切なくって堪らない。

結末は分かっているので当たり前といえば当たり前なのだが、後半部は予定調和的。アクションは水準級と思う。

彼らの「反乱」の目的が何なのか、いまいち腹に落ちてこないところが逆に面白いと思った。虐待していた飼育員への復讐、仲間の解放は当然として、ジェネシス社を襲って街に出て、いったい何を成し遂げたかったのか?このあたりの曖昧な描き方が(それが意図的なものだったのかどうかは別として)もやもやしたものを残す一方で、どこか複雑な余韻を与えてくれたりもする。

シーザーの造形は素晴らしいが、飛びぬけて頭がいいはずの彼とオランウータンが対等に手話で会話してしまう(しかもご丁寧に字幕付きで!)のは若干興醒めであった。
緑雨

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