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ル・ミリオン 4K デジタル・リマスター版のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

3.5
ルネ・クレールが「巴里の屋根の下」に続いて撮りあげたトーキー第2作で、宝くじの当たり券を巡って繰り広げられる騒動を描いた音楽と歌があふれるミュージカル・コメディ。
原題: Le Million  (1931)

パリのアパルトマンで暮らす借金まみれの画家ミシェル(ルネ・ルフェーブル)は、宝くじに当選して喜んだのも束の間、当選くじを入れた古い上着が失くなってしまう。
オペラ座のダンサーで婚約者ベアトリス(アナベラ)の部屋に置いてあった背広は、
スリの親分クロシャール/ ル・ ペール・ラ・チュリップ/チューリップ親父(ポール・オリヴィエ)に渡り、
更にオペラ・リリック座のテノール歌手ソプラネリ(コンスタンティン・ストレスコ)に渡っていく。
その背広を追って、ミシェルやベアトリスはオペラ座まで行くが、欲の深い友だちのプロスペール(ルイ・アルベール)が情婦ヴァンダ(ヴァンダ・クレヴィル)を使い独り占めしようとし、スリの仲間もやってくる…。

舞台上での中年のテノール歌手とプリマドンナによる愛の二重唱(幕が閉じると、その度にいがみ合う)と、彼らの背後に隠れている若いミッシェルとベアトリスの会話(二人の声は観客に聞こえない)。中年カップルの愛の歌に若い二人の言葉(気持ち)を重ね合わせるシーンは、トーキーとサイレントをうまく使ったルネ・クレール美学の真骨頂。
その後、 フットボールのような背広の奪い合いが続く。

上着に入った当選クジがどのようにして戻るかは見てのお楽しみ。

「世の中○○が全てではないけれど、○○はありがたい。
インテリは○○が全てじゃないと言う。でも、その言葉より○○がありがたい」
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