賛否の分かれている映画だが、個人的には今一つノレなかった作品。
主人公の心の動きや何を考えているのかが、まったく分からなかった。
どうしてシリアルキラーになっているのか。オリビアに対してどのような感情を持っているのか。
など、物語の中心となるべき所が、まったくの説明不足、というか、描けていないというべきか。
お客になりきるための小道具として頭皮を剝ぎ、オリビアに対してはレズ的な愛情を持っていて嫉妬からの犯行と無理やり理解したのだが、解説などを読むと「自己嫌悪に対処する方法」だそうだ。
今作を見ただけでこれ、理解できる人いるのだろうか。
また、リアリティの無い犯行方法や警察の追求が無いのもマイナス点。
死体処理がゴミ箱にポイって安直すぎるでしょ。
だいたい血痕も残っているだろうし、指紋もあるはず。
そして一番不自然なのが、ラストを盛り上げるための落としどころ。真っ白なウェディングドレスに、血の一滴も付けずに殺害して、ブーケも汚さずに頭皮を剝ぎ、短時間で入れ替わるなど、もうジェイソンといい勝負。
多分監督は主人公の追い詰められていく心を中心に描きたかったのだろうが、力量不足で独りよがりになっている。
ゴアシーンやせっかくのサービスシーンも、いかにも照れがある女性監督という感じで、マイナス。
日本の配給会社が、この手のB級テイストの邦題をつけたくなる気持ちも分かる、って作品。
余談。
定番ではあるが、どうしてそうなったのかの種明かしをサイドストーリーとして描くべきだった。
単に「自己嫌悪」「強迫観念」では全く物足りない。
そう考えると、ヒッチコックの「サイコ」など名作と呼ばれる意味がよく分かるなぁ。