DJkokiABE

ブレードランナー ファイナル・カットのDJkokiABEのレビュー・感想・評価

5.0
追記
『ブレードランナー』を名作にした立役者と言っても過言ではないロイ・バッティ役
のルトガー・ ハウアーが75歳で死去されました
とても悲しいので追悼でまた観ます


ご無沙汰しておりました
ちょこちょこ手直しをして3週間くらいかけてやっとまとめたレビュー(まだまとまってない?)がやっと完成しました

もう数えきれない程鑑賞していますが、ブレードランナー2049を観る前にもう一度復習しようと思い高音質なBOSEのVIAとSONYのセレブリティー2つを駆使してサウンドシステムを構築してBlu-rayでブレードランナーを観ました
(Blu-rayプレイヤーお持ちの方は是非Blu-rayでこのヴァージョンを観て頂きたいです )

ブレードランナーFinal Cutはリドリースコットがオリジナルネガを修復して、さらに最先端のデジタル処理を施しリマスターを監督自らが監修して美しい映像に仕上がっていて、さらにサウンドもオリジナルを再編集して全体的に調整も加えているのでより映像と音響が飛躍的に向上して今まで観たときよりも数倍感動しました

当時ポスト・モダン、サイバー・パンクなどと呼ばれたような独特の世界観が、今観ても新鮮で圧倒的なビジュアルが素晴らし過ぎるのと音響システムを整えて改めて観たらヴァンゲリスのサントラと音響効果がマジで素晴らしかったです

監督も音声解説でヴァンゲリスの音楽の魅力を絶賛しています

監督の音声解説によると意外にもファイナルカットは5つのバージョンの中で最も尺が短いみたいです

もう何十回と数え切れないほど観ていますが改めてじっくり腰を据えて観たら、いろいろと新たな点に気づきました

まず最初にリオンがレプリカントのチェックを受けているシーンで今までテレビ音声では気づかなかったのですがサウンドシステムを整えてみたらリオンが感情を刺激するような質問をされて動揺するシーンでは心臓の鼓動のように重低音でドンドンと4つ打ちで鳴らされて心の動揺が音でもわかるようになっていました

ロイやゾーラ、プリスは2016年ですがリオンだけは2017年生まれなんですね

リオンと格闘した後にデッカードはショットグラスで酒を飲むのですが、一杯飲んだ後にリオンに殴られ口の中を切った血がグラスに逆流します(後で監督の音声解説を見たら"血がグラスに流れ込んだらクールじゃないか?"とハリソンフォードがアイデアを出したみたいです )

デッカードの自宅はフランク・ロイド・ライト設計のエニス・ブラウン邸のあのコンクリートブロックのデザインとパターンが美しい壁を使っています

まるで洞窟の中の壁みたいです

ゾーラがデッカードに追われて撃たれ絶命するシーンが幻想的で凄く好きです


そして大好きなメモリーズ・オブ・グリーンとラブ・テーマが流れるシーン

レーチェルの記憶はタイレルに埋め込まれたものなのでデッカードが彼女の記憶を否定し、貴女はレプリカントだよと伝えた時に
他のレプリカントとは違い、より人間的な感情が生まれてきているレーチェルは傷付いてしまうシーンでメモリーズ・オブ・グリーンが流れるのでレーチェルに感情移入してしまい目頭が熱くなりました

そしてラブ・テーマの流れるシーン
デッカードはレーチェルがレプリカントだと分かっていても自分に危害を加えることがないと信用してるのでリオンとの格闘の後、レーチェルの前で安心しきってうたた寝をしてしまう
ピアノの音で目覚め髪を解いたレーチェルにさらに魅力を感じ耳元にキスをして唇を奪おうとしたところで今まで感じた事の無いLoveという感情に動揺したレーチェルは逃げてしまう
帰ろうとするレーチェルにデッカードは激しく詰め寄り強引にキスをするがレーチェルも自分の感情を気づいているので抵抗もせずに受け入れて2人は結ばれるシーンでラブ・テーマが流れますが、人間とレプリカントの禁断の愛のシーンを描いた物凄くグッとくる究極のラブシーンだと個人的には思います

https://youtu.be/pOfvq5ZO-Qw


後で監督の音声解説を見たら
レーチェルは怖がっているようだが、デッカードは彼女に恋をしてる
完全に心を奪われてるね
彼女は今起こっている未知の経験に恐怖を抱いている
自分の中に生まれた感情が何なのか理解できないんだ
もう少しセリフがないと、この状況が伝わらないかもね
と語っていますが僕は充分理解出来ました

最後、ロイとデッカードとの死闘シーンでロイが自らの手にクギを刺すシーンはデッカードを殺してやるというテンションが高くなり過ぎて自らを落ち着かせる為に刺したのかと思ったのですが、体に刺激を与え、アドレナリンを分泌させることで少しだけ長く生きることができる 数分間の試合延長の為だったのを監督の音声解説で知りました

レプリカントのロイは人生のすべてを操られ与えられた4年の寿命は間もなく終わろうとしている
ロイはモンスターなんかじゃなく怒れるレプリカントで怒り おびえながらも戦う勇気を失っていません

建物から飛び移ろうとして失敗して今にも落ちそうなデッカードは目の前に飛んできたロイに"助けを求めるくらいなら死ぬ"と言う意味で唾を吐き、命乞いを拒みます
手の中で生命を感じたくて自分の手でハトを握りしめているロイが死ぬ間際に命の尊さを知りデッカードの命を救い、そしてあのクライマックスを迎えます

レプリカントのリーダー、ロイ・バディ役のルトガー・ハウアーは人造人間の狂気と悲哀を演じ、あの素晴らしいラストの独白シーンの台詞や演出は、何と撮影時にハウアーが提案したアドリブらしいです

ゾーラが撃たれて絶命し、うつ伏せになってるところをひっくり返した時に流れる一筋の無情の涙や、プリスがデッカードに撃たれて死にたくないと必死にジタバタするシーン、最期のロイのシーンは悪さを働いてきたレプリカントであっても同情してしまいます

最後のガフの「彼女も惜しいですな、短い命とは 」おそらくガフがデッカードの部屋にレイチェルを見に来た時に、より人間的な感情が芽生えてるレイチェルが他のレプリカントのように立ち向かったりせずに身の危険を感じ死んだふりをしていたのでガフはもう消えてしまいそうな命だと思ってあえて始末せず見逃して、「俺はここに来た 彼女を殺さなかった お前が何を考えているか知っている」とデッカードの部屋の外にユニコーンを置き、来た痕跡を残しておいてのあの台詞なんじゃないかと僕は推測しました

最後に
レイチェルは特別だ
我が社は人間以上のロボットを目指している。彼女はその試作品だ

と、タイレルが言うように、おそらくレイチェルは1番最後に作られ、より人間以上のレプリカントを作ろうとタイレルが秘書的存在として4年の寿命タイムリミットを設定せずに作られたレプリカントなんじゃないかと思います


完璧主義のリドリー・スコットがとことん細部にまでこだわったビジュアルの世界観は本当に素晴らしいとしか言いようがありません

ショーン・ヤングのコメントが印象的です
リドリーの目はロイみたいだわ
"私の目で見せたものを君にも見せたかった"
リドリーが頭の中で描いたものを完璧に表現したのが本作だと思います

原作者のフィリップ・K・ディックに10分ほどに編集した下見用の抜粋シーンの映像を見せたら、"なぜ、こんなことができるんだ?私のイメージそのものだ。この映像を想像して小説を書いたんだ"と自分の小説がこうなるとは信じられなかったように驚いていたそうです

空想的才能を持つ監督の非のうちどころのない究極のSF芸術作品で、リドリーの映画に対する完璧なまでの情熱がこの作品を最高傑作にした何年たっても色あせない名作だと思います

以下監督の音声解説からの抜粋

意志を持つことは感情を意味する
可能性は疑問から生まれるものだよ

デッカード レプリカント説
もし続編があれば彼をレプリカントにしようと思った
もちろん続編はない
と監督が語っていました

都会を題材にした初めてのファンタジー作品だよ

監督の音声解説の最後に
25年の時を経たこの作品
楽しんでもらえたかな
また25年後に会えたらいいね
と締めくくってあり、この音声解説をした2007年の10年後の今、続編が見れると思うと鳥肌が立ちました

マニアの方は是非、ドキュメンタリー「デンジャラス・デイズ 」も観て頂きたいです
製作にまつわる秘話など、盛りだくさんです

補足

10/21に川崎の工業地帯で行われたブレードランナープレミアムパーティーに行ってきました
(右に▶︎クリックしていくと写真7枚、動画2つ見れます↓ )
https://instagram.com/p/BahfUHvnNrt/

最高のシチュエーションに素晴らしい音響設備等で、しかも映画のような酸性雨まで降り出し最高のイベントでした
川崎ブレードランナー・プレミアム・パーティの屋台にて、オヤジに「4つくれ」と注文したら「2つで充分ですよ、わかってくださいよ」と返されて虚空を見つめるシンゴジラの樋口真嗣監督がナイスエピソードでした
https://twitter.com/kntm/status/921705122220011520

イベント終了後に川崎チネチッタでイベント来場者専用貸切上映ブレードランナーFinal Cutレイトショーを観ました

やはり大画面、大音量で見るブレードランナーは格別でとても感動しました

George Michaelのfreeek
ブレードランナーの影響を受けたPV
https://youtu.be/VLnYPXTs9LY

「ブレードランナー」という名称は、SF作家アラン・E・ナースの小説『The Bladerunner』(1974年)において「非合法医療器具(Blade)の密売人」として登場する
この小説を元にウィリアム・S・バロウズは小説『Blade Runner (a movie)』(1979年、訳題『映画:ブレードランナー』)を執筆
本作の制作陣はデッカードにふさわしい職業名を探すうちにバロウズの小説を見つけ、「ブレードランナー」という名称のみを借り受けることに決めたという
作品タイトルとするにあたりナースとバロウズに使用権料を払い、エンドクレジットに謝辞を記している

「レプリカント」については、原作の「アンドロイド」が機械を連想させると考えたスコットが、ファンチャーの脚本を改稿させるために起用した脚本家デヴィッド・ピープルズに別の名前を考えるように依頼
ピープルズは、生化学を学んでいた娘からクローン技術の「細胞複製(レプリケーション)」を教わり、そこから「レプリカント」という言葉を造語した

タランティーノのキルビルvol.2で、片目の女殺し屋エル・ドライバーが、やられた時に手足をバタバタさせて暴れるシーンで、あれ?これってブレードランナーの女レプリカントのプリスがやられた時のシーンそっくりって思って調べてみたら役者が同じダリルハンナだったという、流石タランティーノ!
素晴らしいオマージュ、映画愛を感じました
気付いた方何人いるでしょうか?
これ気付いたマニアックな方とは友達になれそうです 笑

↓は過去レビュー

今、全ての音声解説、メイキングを観ていて近々レビュー更新予定です

SF映画の金字塔

何度観ても全く飽きなく、観る度に深みが増していくような気がします

ブレードランナーとレプリカントとの禁じられた愛
そこで流れるヴァンゲリスのサントラも美しい

特にこの2曲は素晴らしくて最高です!
Memories of Green
(1:03位から、切なくも美しい名曲 )
https://youtu.be/ntrUT5z9fzw
Love Theme
(Taxi Driverのテーマ曲と並ぶMellowなサックスが美しい名曲 )
https://youtu.be/pOfvq5ZO-Qw

ブレードランナーのサントラはヴァンゲリスのヴァージョンは最高ですが、Vangelis & The new American Orchestraの方はオーケストラ色が強く、映画の中で使われている音と違うので要注意‼︎


レプリカントのボスは無感情のようでいて、最期、自分の寿命を悟ってデッカードに語り掛けて旅立つところは何かとても切なくなりました

懐かしの月曜ロードショー 、荻 昌弘さんの解説が素晴らしい
https://youtu.be/vFG7hrQaIZE
DJkokiABE

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