yksijoki

ブレードランナー ファイナル・カットのyksijokiのレビュー・感想・評価

3.7
ブルーレイで鑑賞したんだけれど、とにかく映像が美しい。
ギラついた香港の街並みの異世界感と薄暗いあの感じ。
そこを走るスピナーがまたカッコいいし、電光看板たちのきらびやかなライティングもすごくキャッチーだった。

あとは音楽。ピコーンピコーンというような電子音が常に鳴っているような感じで、香港の街中では人間の声(おそらく日本語)がリピートで聞こえていて若干変な日本語なのだけれどブレードランナーの世界にマッチしていてすごく良かった。

人間とは何か、ロボットとは何か、感情とは、レプリカントとは。そういった事に対してをきちんと描く正統派なSF映画であることもあるけれどそこよりも全体が一つの恋愛映画になっているところがとても良かった。そこをくどい説明にせずに行間を読ませる形で描いているのも。

全体の暗い感じ(特にラスト前のデッカードとレプリカントとの戦闘)はダークナイトやデアデビルのようなアメコミヒーロー物にも受け継がれている部分があると思った。アパートの部屋とその屋上を使ったアクションシーンも激しすぎず、静かに激昂していく感じで楽しかった。

確かに物語の展開はゆっくりだし、あれ?という所もあるけれどそこを置いておいたとしてもこの映像演出を80年代にやっていることは凄い。そしてザラザラ感を残しつつその色合いを際立たせて美しく仕上げるこのリマスタリングはかなり高得点だと思った。
yksijoki

yksijoki