Shiori

最後の決闘裁判のShioriのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
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世界最初の#MeTooなんて触れ込みの宣伝も見たような気がするが、こんな命を賭した(字義通り!)告発なんて恐ろしすぎてみていられやしない。
三部構成で、夫、夫の戦友、妻、それぞれの視点からひとつの物語をみていくという構成。妻マルグリット(女)が語る物語が最後に挿入されることで、従来の「男が語る物語」がいかに私たちが普段触れる創作物の基本となって(しまって)いるか、痛感させられた。これが、女だけが語る物語だったらまた違う印象になっていただろうと思う。
153分と長尺だけど、丁寧に丁寧に紡いでいった物語のおかげで、最後の決闘シーンの鑑賞が観客にとってかけがえのない体験になった。馬に乗った二人の男たちが殺し合うって......まあ字面だけみても結構映えそうだな。でも、物語の積み重ねがなくあのシーンを観るのと、あってあのシーンを観るのとでは、入り込み具合が決定的に違う(これはある意味では当たり前のことなんだけど)。どうなったって地獄に転ぶ、終始胸糞悪い救いのない話だと思う。


あとは中世フランスに関する知識がもっとあればなーと思った。結婚時は女が持参金、妻は夫の所有物、妻は世継ぎを生むのが一番の仕事、ここらへんは特に違和感なかったけど、絶頂に達したときに妊娠できる(これも聞いたことあるけど、性交時はなるべく快楽を感じないように、みたいなのも中世じゃなかった?)、「あの人イケメンだよね」みたいな噂話(するんだ)、乱交(快楽は罪なのでは......)、ここらへん私が思い描いてた中世と違くて(中世をなんだと思ってるのか)実際のところこれであってるのか?と思ったり。


デイモンの「なぜ逃げる?!」が面白すぎてめっちゃ笑った。
しかし、デイモンとドライバーが見てたものってなんだったの?
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