いずみたつや

最後の決闘裁判のいずみたつやのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.3
「男らしさ」を守る役割に女性を押し込む下劣さ。その役割を内面化して自ら「男が望む女」を演じる女性達の姿も虚しい。存在そのものが否定されているかのような扱いのなかで、「私は絶対に沈黙しない」と示す主人公の姿はとても美しいものがありました。

一方で自分の独善的な振舞いにまったく気づかない男の愚かさ。男達の目線から語られる「真実」の無神経さと醜いプライド剥き出しの姿は不快としか言いようのないものです。

「飾り物」として扱われたまま、決闘という極めて「男社会」的な決着に巻き込まれてしまうマルグリットの目の前で、その思いとはねじれたままに繰り広げられる血みどろの死闘。男達が滑稽さを高らかに掲げる姿を見る彼女の冷ややかな視線は、はっきりと現代社会にも向けられているのです。