シュウ

最後の決闘裁判のシュウのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.4
3人の視点から語られる同じ事実

「事実は一つ 解釈は無限」
よく言われるこの言葉を身を持って体験できる作品

そしてそれぞれの視点で、
同じ人物が違う人物に見えるのが凄い
脚本も見事だが、演者が本当に見事
特にジョンカマーは素晴らしい
フリーガイでの表情豊かな演技も良かったが、こちらは非常に繊細な演技
本当に素晴らしかった

テーマは男性中心主義社会へのアンチテーゼ
男の権威欲求、自尊心、傲慢さが、どれだけ女性を傷付けているか、
社会を不寛容にしているかをまざまざと見せつけられる

ハリウッドでもセクハラ問題が昨今明るみになっているが
現在進行形で向き合うテーマが見事に炙り出されている 

これは仲良い女友達と一緒に観に行って語りたかった

以下、じゃっかんネタバレあり


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マットデイモン演じる夫は権威主義の塊
自分の権威を示すことしか考えていない
愛を語るが全て根底は自己愛

アダムドライバー演じる友人は傲慢性の塊全てが思い通りにいくという自信過剰の勘違い男

この2人の本性が最後のマルグリットの視点から炙り出されいく様は本当に見事

タチが悪いのが2人とも「マルグリットのため」と自分の言動を説明していること

旦那は日々の生活の中でも自分の権威のことしか考えておらず
妻の正義を守りたいのも結局は自分の尊厳を守りたいだけ

友人は不寛容な旦那に監禁されている可哀想な妻を救いたいと言いながら
結局は自分の妄想を叶えたいだけ

それぞれが自分の欲望を満たすための行動を
巧妙に相手のためとすり替え
そして自分自身でもそれを盲信しているのが非常に根深さを感じる

義母の存在もまた根深い

時代を変え、視点を変えることで、
まだまだ現代が抱えているこの闇を明るみにしたのは
改めて非常に見事な作品だと関心

P.S.男性側に嫌悪感を持つとともに
正直ちょっと共感できてしまった自分に対しても自己嫌悪に陥る、、、
シュウ

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