Palak

最後の決闘裁判のPalakのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.5
全く興味ない題材(歴史モノに惹かれない)かつ予告もつまんなそうだったので完全に油断してたがさすがリドリー・スコット。かなり面白かったですすいませんでした。

こんなちゃんと作られた面白い映画作ってんのにマーベルに押されて興行失敗してたらそりゃ毒も吐きたくなるわこれは。

羅生門トリビュートの構成を存分にいかした、性犯罪とくにレイプにおける「認識の違い」を炙り出すやり方は、映画として面白いのはもちろん、もうなんだったらこれ全国の学校、会社で流そうレベルの性犯罪がなぜ起きるか、どう起きるかのお手本になってるのが秀逸。
昨今metooとともにようやく少しずつ表面化されてきたレイプ犯罪の実情を、中世のドラマと重ねて羅生門構成で面白く作ってしまうのはほんと凄い。エンタメかつ啓発的で教育的。

あとはもうアダム・ドライバーのル・グリがほんとキモすぎて辛い。背筋も凍るキモさ。これはこの役マット・デイモン降りるはずだわ。

中世の生活様式もかなり細かく作り込まれてて見応えあるし、こんな濃厚な作品をパパッと作って次はグッチってほんと器用すぎるぞご老体。


ただ一点、これ言ったら元も子もないんだけど、やっぱりこれどうしてもハリウッドの、入植者的身勝手さから抜けられてないというか、史実的にはフランスの物語なのにアメリカ、イギリス人たち中心に英語で作ってしまう傲慢さは個人的には見過ごしたくない。
劇中で歌うのはフランス語だったり、俺から言わせたらそれもう世界観崩壊してるじゃんって思うんだけど、ふだん散々ポリコレ言ってるくせに言語に関しては全くみんなスルーなのいい加減にしてほしい。
のでちょっと減点。でも映画自体はすごくよかった。
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