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最後の決闘裁判のKotaのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.1
“愛は罪か。真実は重要か。”

13世紀シャルル6世統治下のフランスで実際に起きたとされる決闘裁判を描く。“グッド・ウィル・ハンティング”ぶりにマッド・デイモンとベン・アフレックが共同で脚本を作り、リドリー・スコットが監督。長尺で見応えがあるからこれぞ映画館で見るべきなのにディズニーが何故か一瞬で配信に出してしまった作品。

決闘と聞くとどうしても泥臭いイメージがあるのだけど(実際に泥臭いのだが)、裁判のきっかけが”親友の奥さんをレイプした事”という今の時代にも当てはまりそうで、この13世紀の素晴らしくファンタジーな世界観とは相反したかなり身近なテーマだった。最初はカットの編集が早すぎてダイジェストかな?と思ったけれどそれもそのはず、この作品は三人それぞれの目線で同じ時系列を描き、最後に決闘に突入するという壮大な造り。面白いのが同じ時を描いているのに目線によってカメラワークやセリフが若干変わっている事(人々の主観という曖昧なものを表現)。その構成により同じシーンを観ているのにも関わらずどんどん作品にのめり込んで、決闘の時には声が出ないほど手に汗。そこまでの動線が完璧だったのは元より、決闘のシーンだけで2週間撮影(2か月は振りの練習)したらしく、その熱量は想像の何倍も凄まじい。

当初はベン・アフレックがアダム・ドライバーの役みたいだったけど、スケジュールの関係で脇役に転じたみたい。それで良かったと思う(笑)ヒロインのジョディ・カマーが他の俳優に比べるとキャリアは劣るのに演技力が一番光っていた。当時の女性蔑視や階級社会を浮き彫りにさせながらも、現代にも通ずるメッセージを発する天晴れな完成度でした。
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