回想シーンでご飯3杯いける

最後の決闘裁判の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.0
観終わった直後の評価はかなり低かったのに、皆さんの深い考察を交えたレビューを読んで、作品が伝えようとしていた事を理解できた。これほどFilmarksの存在意義を感じた作品は初めてかも。

逆に言うと、作品単体で観ると、悪い意味で親父臭さが鼻につく。中世の史実を基に、黒澤明スタイルで当時の男性社会の酷さや女性蔑視の問題を炙り出そうとしているのは分かるのだが、3章各々に与えられた時間がやや長く、しかも鮮やかな対比を見せるには至っていない。結果、本作が内包する男性本位な視点が際立ってしまうという皮肉。現代の女性差別に向けたメッセージを発信する為に、何故中世の史実を持ち出したのか?もピンとこない。

あくまで予想であるが、この男臭い雰囲気は、原案と脚本を手掛けたマット・デイモンとベン・アフレックに依る部分が大きいのではないだろうか?(この点については、AIRのレビューでも触れたい) 

監督のリドリー・スコットについては、中世の風景や美術に拘った重厚感溢れる世界観の構築に、職人として携わっている印象である。醜い男達に囲まれながら、大半のシーンを3通り演じ分けたであろうジョディ・カマーも素晴らしい。