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LAMB/ラムのumisodachiのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.6
A24が配給するアイスランド人の監督作品。

ひっそりと穏やかに暮らしている羊飼いの夫婦。ある日生まれた子羊を見た彼らは、ベビーベッドを用意してその子羊を可愛がりはじめる。幸せに包まれた夫婦だっがた、訪ねてきた夫の兄弟はその子羊を見て……。

いや、なにこれ(真顔)

誇張でもなんでもなく、今までの人生で観てきた中で一番ヘンテコな映画かもしれない。なにこれ(2回目)

極めて少ない台詞に、アイスランドの雄大な自然。しかしうっすらと常に漂う不穏な空気。その子羊が生まれた途端に一変する生活。執拗な愛情、ほのめかされる子どもにまつわる悲しい過去、愛ゆえの罪、望まぬ来訪者(弟)、乱される調和。

終わってみれば、かなりわかりやすくキリスト教的かつ神話的な要素で構成された寓話なのだが、とにかくめちゃくちゃ奇妙!!「ホラー」と説明している媒体も多いが、ホラーではない。だって、全然怖くないもの。どんな脚本になっているのか、そのイメージを撮影チームとどう共有したのか、俳優たちはどんな心理状態で演じたのか、そういったことがまったく想像できない怪作。

しつこいくらいに画面に映し出される大自然、何かいいたげなのに説明してくれない言葉たち。ヒーリング映像かよっていうくらい動きが少ない画面を見ながら、「これはどういうこと?」という想像と、「これからどうなるの?」という期待でギリギリ保たれる集中力。おそらくダメなひとは全否定するタイプの作品だろう。

キリスト教的な考察は色々書けるし、そういうメタファーに関してはシンプルと思うほど分かりやすいので、『ボーダー』ほどの深さはない。ただただ奇妙な世界と人間のエゴと美しい自然を堪能する映画。あまり事前情報は入れずに観るのがおすすめです。












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