てっちゃん

LAMB/ラムのてっちゃんのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
4.0
これ観たいやつ!って思ってたら、安定のA24。
なんで観たいって思ったんだろ?
予告宣伝も観てないけど、SNSで画像だけ見て、これは気になるやつとでも思ったんでしょう。

A24作品を映画館で観るのけっこう久しぶりだなと思いつつ、お久しぶりの地方シネコンへ。
レイトショーだったけど、休日だった為か、それなりに人は入っていました。

地方といえども、前宣伝が長いのは当然のことで、無心でこの時間を過ごします。
さあ、やっとこさ始まりました!ってことで感想です。

A24って、そもそも作家性を重視するのが特徴だなとは感じていた(その差別化が時代と合ってこれだけの影響力になってきているんだろうと思う)んだけど、本作を観た瞬間はそれを如実に感じた。

本作は従来であればミニシアター向けの作品であると思うんだけど、全国展開されているし、徐々にこっち方面にA24がシフトチェンジしてくるって感じなんかな。

さあさ、本作はネイチャー・スリラーとかよう分からんこと言われているけど、私は童話+神話+宗教+家族+羊+隙間+閉鎖空間+ア-ト+大自然+山登りたくなる=アダちゃん愛でる映画だと思いました。

この答えは本作観た方なら、しっかりと分かってもらえるくらいに、”アダちゃんの笑顔を守り隊”にすっかりなっている筈。

このよう分からん数式のうち、特に印象に残った単語について。

”家族”
本作は極端に登場人物が少ないです。
最低限のコミュニティの中での話なので、登場人物ひとりひとりに集中できることができて、そこを作品は掘り下げ”させよう”としてきます。
そこがものすごく好感が持てたところ。
どこにでもいそうだからこそ、共感しやすいような人物設定にしているところもポイントかも。

”羊”
本作の花形。
羊かわいい。特におしりをふりふりして歩いていくシーンには、思わずうっとり。

”隙間”
本作は、空白の時間がかなり多いです。
だから人によっては退屈だなと感じることもあるかもしれない。
でもその隙間を埋めてしまうと、本作の魅力は一気に下がると思うので、この隙間は成功していると感じた。
この隙間があるから、これから物語はどう動いていくのか、さっきの行動の理由はなんだったんだとか、各自考えることができるので、人それぞれの感想を持つのは当然だと思う。
さらには、明確な答えを出さなくとも、登場人物たちの行動で過去にこういったことは起こったんだろうなと推測させるあたりもお見事ですね。

”大自然”
これだけでも観る価値あり。
自然光を可能な限り活かして撮られ、最高なロケーションを探し当てた本作は、それだけで圧倒されるし、低予算作品なのに、これだけ重厚で本物感が感じられるのは、この成果がかなり大きいからでしょう。

”アダちゃん愛でる映画”
これで感想片づけられる魔法のことば。
アダちゃんがかわいいんだ。
特に頷きというか、鼻をすするというか、そのときの声がかわいい。
知らない間にアダちゃんの親になっている(登場人物たちのように)みたく、アダちゃんを愛でていることに気づき、またそれで嬉しくなるという恐ろしい連鎖が生まれます。

いろんな考察ができるだろうけど、順当に考えればこうだろうなって感じはある。

だがしかし、私はペートゥルが羊獣人である説を密かに期待しています。
つまりはあそこのシーンから、全てが、、、だったみたいな感じで。
いろいろ鑑賞後に語り合いたいけど、語り合う人もいないので、こうして書き殴っているわけです。

本作長編初監督のヴァルディミール・ヨハンソンさん。
あのタラ・ベーラ大巨匠やアピチャッポン・ウィーラセタクンさんらが教鞭をふるう学校で映画製作を学んだとのことで、なるほどなと感じることができます。

あとノオミ・ラパスさんがお見事な演技をみせてくれてて、しかも製作総指揮も担当したとのこと。
彼女の持つ、ミステリアスだけども、ぶれないものを感じるの演技は、作品にもしっかりと現れれています。

ああ、アダちゃんが元気で幸せな生活送っているなら、それだけで十分だなと思いながら、劇場を後にしましたとさ。
てっちゃん

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