怪しく淡々としていながらも、目が離せなかった。
奇怪な赤ん坊として産まれてくる子羊にアダと名前をつけて、夫婦は大事に育ていく。
序盤で夫が「未来は知りたくない。今が幸せだから」というのに対して、妻は「過去にも戻れるの?」質問をした。
そして、中盤で実娘を亡くしお墓参りをしているシーンで妻は実娘を亡くしてからずっと過去に囚われていたのではないのかと。
子羊を実娘に投影して前に進もうとしていた。
夫は何も言えなかったのか。
人間のエゴを感じた。
アダの実の母の羊を撃ち殺すシーンもエゴを感じて気持ち悪かった。
夫の弟はアダの奇形を見て一度は撃ち殺そうと考えていたのになぜ辞めたのだろうか。むしろ可愛がっていて、これは寂しさを埋めるペットとして必要だと思ったのか。そうだとしたらこれも気まぐれな人間のエゴ。
そして、後半は夫がアダの実の父の獣人によって殺されてしまう。
悲しむ妻は最後に涙しながら天を仰ぐ。
しかし表情は穏やかだった。
妻は自身のエゴにまみれアダの実の母親を殺してしまった罪に対して、最愛の夫が殺されてしまったことによって罪を償い。安心したのか。
あとは天を仰ぐ前にお腹を見ていたように見えて、おそらく妻は妊娠していたのではないのかと。アダのことも全然探していなかったし。新しい希望を持ち解放されたのではないかと感じた。
よくわからない点としては、妻の夢で雄の羊たちが出てくるシーンとか獣人は何故そこに存在していて、羊を襲ったのかがよくわかっていない。
羊の獣人で思いつくのがギリシャ神話に出てくるサテュロス。
自然の豊穣、音楽と踊りが好きな獣人でも
あり、男性器の象徴とも言われているから、夢に出てきた羊たちは男性の生殖力を意味していたのか、、
弟に性的に見られているというのもあったし、、、
アダが音楽を聴いてノリノリだったのもサテュロスの血が入っていたからなのかな。
羊の出産シーンは本物だったのか。とてもリアルだった。
アダが服を着ていたり一緒にテレビを見ていたり食事をしているシーンは怪しくてシュールだった。
とにかくアイスランドの景色が美しすぎてCGに見えた。
2023/1本目