anika

LAMB/ラムのanikaのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.4
映像で魅せる人知を超えた狂気の家族愛。
山に佇む羊小屋と一軒家、広大な草原と険しい山々、禁断に触れる家族、赤と白で連想させるキリスト。A24の好きな映像美がギュッと詰まってた!!

リップシンクまでの長い映像の中でも不気味な雰囲気が感じ取れるし、夫婦仲が凄く良い訳ではないことも歴然。
アダが産まれ、育てることで夫婦の距離感が縮まる描写は微笑ましいものかもしれないけど、異様な光景をあそこまで浸透させるのは凄い…
猫や犬の身近なペットを交えることであくまで″普通の日常″を描くのは秀作だなぁと。

個人的な考察ではあるけれど、禁断とされるアダは、異形のイエス・キリストそのもの。
キリスト教にとって、羊飼いは″よい羊飼い″でなくてはならず、ヒツジのために命を捨てる。マリアのとった行動はそれに反するものばかりのため結果的に家族の崩壊を迎えたのかなぁと。
普通の幸せを手にした事で疎かになった羊飼いとしての仕事、一時の幸せで迎える家族の終末的結末。
そして美しい風景にのせて魅せる、甘美で異様な物語。神話にも御伽話にも見えるのが恐ろしいね。

罰が下るのが夫の方なのは何故なのか、アダを連れて行った奴の素性は何なのか、考察しがいがあるのはワクワクが止まらないっすわ…
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