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ずっと独身でいるつもり?のハルのレビュー・感想・評価

ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)
3.5
結婚という物凄く現実的な問題をテーマとしているのに、何故これほどリアリティを感じないんだろう…

理由は多分、男性陣。
こんな人達いる?
今まで生きてきて出会ったことも見たこともないレベルの人達ばかりで、違和感強め。

年齢こそ違えど同じ欠点があり、パートナーの気持ちが一切わからない。
若干サイコパスに感じるほど。
何を話すにも自分の事ばかり繰り返し、会話にならない時間が目立つ為、不自然極まりなかった。

こんな形で男優の設定は…なのだが、ストーリーはメインテーマの「結婚」だけではく恋愛であったり生活だったり、等身大の女性の悩みにも多く触れていて、興味深い側面が多々内包されている。
そういった多面的な視点から見える部分は面白く感じられた。

登場人物には独身・既婚・パパ活をしている女性がいる。
各々のエピソードを見る度、昔より遥かにパーソナルな距離感を保つのが難しくなっているんだな〜と実感。

その大きな要因は劇中でもメインツールとして扱われているSNSの存在だろう。
一人でいても常に他人とコミュケーションが取れてしまい、好きなコミュニティに属せてしまう今の時代。
良い面と悪い面が両極端で人間関係のバランスを取るのが実に困難に見えた。
こうした中で他人と仲を深め合い、互いを認め、価値観を共有していく作業は考えるだけで途方も無い道のり…

そして、本作最大の見せ場は最後の独白。
役の『本田まみ』としてだけではなく、『田中みな実』自身が語っているようにも思え、迫真の芝居に感じられた。訴えるような表情、熱量を含んだ言葉を始め、物語で表現したい全てはこのシーンに凝縮されているイメージ。

「ずっと独身でいるつもり?」は全体を通じ、すんなり受け入れ難い表現が多いのも事実。
しかし、女性視点から見た結婚感や仕事との兼ね合い・子供の問題など色々考えさせられる部分も多く、楽しむというよりは「学ぶ」に近い感覚の映画だった。
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