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ずっと独身でいるつもり?のnetfilmsのレビュー・感想・評価

ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)
2.2
 とかくこの世は生きにくい。21世紀の日本、および都会で生きる女性たちにはそれ相応のストレスがあることを覚悟しつつも、四苦八苦する彼女たちの生き方にはやはりため息しか出ない。職場でのストレス、いつも顔突き合わす家族との信頼関係、毒親からの心的プレッシャー、SNSに命を懸ける拝金主義の滑稽さ。エゴサーチして一喜一憂したり、30過ぎて人の悪口を平気でSNSに書き込む姿にも辟易したが、年下の薄っぺらな商社マンになびく主人公の男の見る目の無さにも絶句した。これは「結婚」云々の次元の話じゃなかろうと。30代半ばの女性3人を、自由気ままなおひとり様と1人息子と旦那さんに囲まれた幸せな家庭生活を営む主婦という好対照な2人を両ウィングに置きつつ、結婚か独身かに悩む主人公をその真ん中に置くのはわかるのだが、20代女性代表をパパ活命の拝金主義者としたのは流石に20代女性に対して悪意があり過ぎる。それでいて女たちが顔を突き合せれば、意味不明なマウント合戦に終始するばかりでとにかく怖く、観る側としては心も荒ぶばかりだ。

 侘しい母の台所の描写も「結婚は墓場」的な印象操作でただただ映像を曇らせている。男たちも真に類型的で都会の喧騒の中を力強く足を踏みしめて生きていない。唯一、親戚のおじさんである橋爪淳との関係性だけがヒロインの心根を読み解くヒントになるが、とにかく登場人物一人一人の掘り下げが甘い。一見煌びやかに見えてまったく生活の匂いがせず、生きている実感が希薄だ。映画そのものがまるで主人公が住む殺風景な部屋のように見えて来るから不思議だし、藤井隆の元気いっぱいな掛け声だけが虚しく響く。

 十人十色の多様な価値観を前提として話せば、結婚はその人の人生にとって大変重要なイベントではあるが、決してゴールではないはずだ。ジェンダーの問題や家族の在り方についても、20世紀とは違い様々な価値観が少なからず提示される中で、結婚か独身かの二項対立で1本の映画が撮れるのだと確信しているとしたらそれは無茶なチャレンジだと言う他ない。もちろん、思考実験としてのおひとり様 vs 家族持ちというテーマは妄想レベルならば幾らでも有効な話だし、同性同士の酒のツマミにもなる話なのだが、映画の題材になるかどうかは別問題だ。私の人生もあなたの人生も、果たして自分が幸せだったかどうかは死ぬ直前にしかわからない。とはいえ今作は結婚に対する大雑把な二項対立に無理矢理、答えを見つけようとする。その思考実験の対象となるのは30代半ばの女性3名と、彼女たちの一回り年下の女性なのだが、たった4名の生き方をもってして、1億2000万人のおよそ半分の真理を言い当てていると思っているならば単なる傲慢で、94分で掘り下げるには明確に尺も足らない。