シリーズ第9作目
ノスタルジーの逆襲。未来への逃避。
20世紀から21世紀へ。アニメが鳴らす「時代」の警鐘。
「心が空っぽだから、モノで埋め合わせをしているだけ」
このセリフが頭から離れない。自分たちは今、どんな時代に生きているのだろうか。
急激な時代の変遷が人の心を変えてしまったのか。
大量のモノに恵まれた日本人が失ってしまった「もの」は、過去に遡らなければ取り戻せないのだろうか。
どんなに過去に哀愁を抱いても、どんなに未来を悲観しても、時代は止まってくれない。
今を生きる者が希望を見出だしたいのなら、躓いても進むしかない。
満身創痍のしんのすけが必死でタワーを登るあのクライマックスが、人間と時代の在り方を象徴しているように思える。
子ども向けアニメの皮を被ってはいるが、真に観るべきはオトナでしょうか。
家族愛とコメディ、そしての皮肉を込めたスリラーを完璧に共存させた映画など観たことないです。
素晴らしかった。
2021年20本目