バクチャン

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲のバクチャンのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

大人にとって懐かしいものレトロなものをわーってごった煮にして混ぜたようなテーマパーク、「20世紀博」にどハマりしているひろしとみさえ、そして何度も連れてこられてうんざりしてるしんのすけやひま、カスカベ防衛隊。しかしある日20世紀博のお知らせにより大人達は幼児退行し、しんちゃん達本物の子供を雑に扱うようになってしまう。しかもそのまま20世紀博のお迎えのトラックに乗り込んじゃって…これは大人の、オトナ帝国の逆襲だ!みたいな話。

初見の時は幼稚園生、本当にしんちゃんとあまり変わらない年齢の時に観たんですけどめたくそ怖かったのを覚えている…!千と千尋の冒頭的な怖さ!大人から見放されて急に非日常に巻き込まれていく怖さ…これを岡田斗司夫先生が「子供にとっては前半ホラー映画」って言ったのがほんとそれーーーってン十年ぶりに飲み込めた気持ちでしたね…。今見ると「まあしんちゃんがなんとかしてくれるし〜」くらいの気持ちで観れてあまり怖くないのもなおさら。小さい頃、ひろしの靴かぎからの回想以降の記憶がすっ飛んでたのもよっぽどのショックのデカさが窺える…。

今回の映画、子供は楽しめるんだろうか…とたまに思うことがあるんですけど自分が実際子供の時に見て強烈な記憶が残っており、後々見返すってことが起きてるから楽しめたんでしょうね。

ウィキでみたけどこれ試写会で不評だったらしい。まージャングルとかブタのヒヅメとかに比べたらしんちゃん感は薄いわな。しんちゃんっていったらお下品ギャグ!キッズアニメ!みたいなイメージで観たらえぇ〜〜〜こんなにまで大人に媚びていいの!?ってなるし、そこまで大人に媚びておいて急に中盤から「甘えんな!子供には未来しかねえんだ!一緒に今を生きろ!!」と叩きつける映画である。多分私も一歩間違えて昔は良かったノスタルジーおばさんになったらこの映画を「レトロやエモさへのアンチテーゼだ!!」とかってブチギレ回してると思う。
でもこれは他の国民的アニメがやるのではなく、野原しんのすけが叩きつけることに意味があると思う。というのもクレしんは国民的アニメで唯一大人の汚さを描くことが許されているのだ!!
この映画で描かれる大人の汚さというのは「責任を投げ出して子供に戻りたい」「今の生活にうんざりしている」という気持ち。子供からしたら信じらんねーそれでも親かよ!!なんですけど親も人間だから当たり前やろが!!
しかししんちゃんはそれを飲み込んだ上で「自分は家族と一緒に過ごしたい」って自分の意見貫ける数少ない主人公です。飲み込んだ上で、というのがとてもポイント。しんちゃんってある意味理想の子供なんですよね。自分の汚さ弱さを決して否定しないけど、それに甘んじることを許さず、ただ絶対に味方でいてくれる。最高だよ…。

この映画すごく好きなんですけど、これをきっかけにクレしん映画は大人も泣けるもんだよってイメージをこじつけられる羽目になったのがヨ…これもまたクレしん映画ってだけなのよ…。そんなわけで4.5。
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