ルイス森田

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲のルイス森田のレビュー・感想・評価

5.0
再見。
前半から中盤にかけての育児放棄が物凄く怖かった。見渡すと世の中には「大人」になれない人が沢山いる(勿論俺も含め)が、そこへの観察眼に非常に長けている映画だと思った。

オトナ達の「なんで俺らが仕事や家事をしないといけないの?俺らだっていつまでも遊んでいたい」という後退したい気持ち。放り出されたしんちゃん達の不安だがそれでも食べ物を見つけ、寝床を見つける、生き抜こうとする前進していく姿勢。

特にしんちゃん達の前進性は本当に素晴らしいと思った。ピンチでもユーモアを発揮してムードを作り、ひまちゃんなど自分より弱い者を守り続ける姿勢は、その時点でこの映画中、既に責を果たす為に己を行使する「大人」だと思った。

これは明確に通過儀礼の構造を持った映画だと思った。ポイントなのはオトナとしんちゃん達が違うカタチで通過儀礼を経ることだと思った。

敵も魅力的に思えた。僕は郷愁に共感はしないが、主張に求心性があってエンターテイメントを提供してるだけで、直接手を染めて悪事を働いているわけでもない。あくまで後退性の誘いをかけてくる者なだけ。今回の敵は後退性であり、その誘惑が魅力的だから敵として魅力があるのだと思った。

その他細かいところももっと研究してみたいと思った。
評判が良い映画で過去にも観たことがあったが、繰り返し観て研究する価値のある映画だと思った。
ルイス森田

ルイス森田