あんず

スワンソングのあんずのレビュー・感想・評価

スワンソング(2021年製作の映画)
4.2
最近、突然叔母が亡くなったり、祖母も長くはないと聞いて、人の死は突然だったり、こちらが生きている限り避けて通れないものだし、多かれ少なかれ精神的に影響を受けるなと感じる。

そんな中、前から観ようと思っていたこちらを。もっとイケイケな感じかと思いきやそうでもなく(主人公の行動はかなりぶっとんでいるけれど)、やはり誰もが避けては通れない老いの切なさや時代によって街や思い出の場所が移り変わって行くことの寂しさ、愛した人や仲間との別れの辛さなどが描かれ、しんみりした気持ちになった。かつて栄華を誇った伝説のヘアメイクドレッサーのパットですらそうなのだから、後悔なく人生を送れる人などほぼいないんだろうなと思う。

後半、彼が施設から抜け出す時に着ていたジャージから彼に似合うスーツに着替えた辺りから、こちらもワクワクして来た。この衣料品店の店主とのやり取りのシーンが1番好きだったな。

どんな人も、どんな時でもその人らしい出で立ちや振る舞いで、ありのままの姿を受け入れてくれる仲間に囲まれていることが、幸せってことことなんじゃないかなと思う。尚且つ、自分の好きなことを老いても出来たなら、最高だと思う。そんな人はいくつになっても、輝いていて格好良い。

あと、コロナ禍、なかなか友達に会えない中で、美容師さんやアイリストさん、ネイリストさんがかなり頻繁に会う間柄で、色々な話をすることがリフレッシュになったり、身近な人でないからこそ話せる内容もあって、すごく有難い存在だなということも改めて実感した。
あんず

あんず