りこ

スワンソングのりこのネタバレレビュー・内容・結末

スワンソング(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

これはウド・キアの演技がすごいな!
徐々に昔の姿に戻るように指輪をはめ、帽子をかぶり、衣装を着ていくごとにキュートさも増す。
所作とか含め、こう、格好いいなあとも思う。イケメンとかの格好いいではなく仕事へのプライドとか生き様のそういう格好よさ。古着屋さんのとこのくだり、すごく良かったなあ。
音楽もめちゃくちゃあっていて、しっかり訳もみせてくれた歌詞があまりにハマって良い。

しかしそれはそれとして、もしパットのような老人がああやって歩いているところに遭遇したら、私は通報を考えると思う。
施設を抜け出し、万引きをし、電動車椅子で渋滞を起こしながら車道の真ん中を走る。認知症を疑うし、明らかにいろいろな意味で危険。
昔使っていた化粧道具も店も住んでいた家も大切な人もなくなって、老いだとか時間の流れの残酷さも切ない。
それはどうしようもないことなのかもしれない。
ゲイカップルが子育てをしていて、彼らのときには叶わなかったことが、今は叶う良さと悲しさ。
変わることが悪いことだけではないものね。

そして、伝説のヘアメイクアーティストのパットの、最後のスワンソング。リタのヘアメイクだけでなく、自分自身に施したメイクと、リダから拝借したハイヒール。
そういうところは良くも悪くも変わらなかったのね、きっと。

スカッと笑えるだけではない寂しさ切なさもあるし、もやっと大変な現実も考えてしまう映画だったけど、見てよかったな
りこ

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