やすやす

1941 モスクワ攻防戦80年目の真実のやすやすのレビュー・感想・評価

4.6
俳優の宝田明さんは子供の頃、終戦時に満州で
ソ連兵の非人道的な暴虐ぶりを目にして終生ロ
シアという国を許さないし好きになることは無
いと語っている。
私も同様、宝田さん程の憎しみは無いが到底好
きにはなれない。日ソ中立条約破棄、シベリア
抑留、北方領土問題など日本人の一人として強
い怒りを抱いている。
私が子供の頃の冷戦期は日本にとってソ連は一
番の仮想敵国でした。ソ連が北海道に侵攻した
というシミュレーションのゲームや本もありま
した。その記憶は長い年月を得た今も消えるこ
とはなく頭の片隅のどこかにロシアは敵国とい
う思いが植え付けられている。

そんなロシアで作られた作品。「真実に基づく」
と謳ってはいるがプロパガンダも含まれている
だろう。全てにおいてかなり美化されているだ
ろう。
だけども…
これは実にいい映画だった。素直に脱帽です。
ナチスドイツから首都モスクワの防衛を成し遂
げたことにカタルシスを覚えた訳ではない。
年端もいかない若者達が只々祖国の為に勇敢に
戦っている姿に感動を覚えた。
彼らはいったい何の為に生まれてきたのだろう
って考えると胸が苦しくなる。アニメや漫画の
世界ではなく歴史上のリアルな出来事として見
せられるともし自分が彼らの立場なら同じ様に
戦場に立ち続けることが出来ただろうかと考え
ざるを得ない。おそらく逃げ出して射殺される
のが関の山かも。

予想もしなかった結末を目にして「あーそうい
う作品なのか」と思わず嗚咽しそうになるくら
い胸が切なくなりエンドロールは深い余韻に包
まれままボーッとなった。
極限状態の戦場だからこそ輝く崇高で美しい友
情や愛情がある。
「仲間を思う気持ちは何よりも尊い」
そのことを「嫌いな」ロシアから改めて教えら
れた作品です。