いずみたつや

1941 モスクワ攻防戦80年目の真実のいずみたつやのレビュー・感想・評価

4.0
砲兵が主人公というのがなかなか珍しい戦争映画。

砲車を隠す小屋の扉を開閉しながら、敵に居場所を知らせずに攻撃を仕掛ける様子がとても興味深かった。

連射ができないために発生する照準と砲撃のスリルは『フューリー』で描かれた戦車による攻防を彷彿とさせます。

一見地味に思えるかもしれませんが、ドラマチックな展開も盛りだくさんで、エンターテインメントとしても完成度の高い作品だと思います。

脚本は近年ロシアが機密解除した資料をもとに書かれたとのこと。実際の場所に大規模なセットを作り、博物館に保管されている実際の車両や兵器を使ったという気合いの入りようが画面からも伝わってきます。

戦力不足から若年兵が駆り出された非常に凄惨な戦いで、彼らの輝く未来や純粋な気持ちと戦地の泥と血とに塗れた光景の対比が戦争の虚しさをいっそう強調していました。