SAKUMATHENERD

女神の継承のSAKUMATHENERDのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.9
当初、ナ・ホンジンが『哭声/コクソン』に出てくる祈祷師の話をスピンオフとして画策していた所、バンジョン・ピサンタナクーン監督まで流れて今作を制作するまでに至ったそう。なるほどそりゃめちゃくちゃコクソン味があるわけだ。

本作モキュメンタリー形式を取っており、
タイの集落における女神バヤンを祀る宗教にフォーカスしたドキュメンタリーを撮影する程で物語が進行する。ある家系では女神バヤンの祈祷師を受け継ぐことになっており、長女ノイが断った為次女であるニムが祈祷師を担っている。ニムを追っていく中でイムの娘に当たるミンに異変が生じる、、女神の継承のサインとしての身体への異常と捉え以降ミンにスポットが当たるが事態がどんどん悪化して行く、、、

何より今作が怖いのは「宗教を信じようが信じまいがそこに確かにあるのは現象としての精霊=悪霊だけ」という主題にあると思った。ラストの祈祷師ニムの独白からも信仰という行為の不確実性が強調されていて、宗教において実際に信者の祈りが届いているか確かめる方法など無く現実問題裏打ちなんてできないことが示されている。(だからこそ科学ではなく信仰なんだろうけど。)それゆえバヤン女神を信じようとも、キリスト教に改宗しようとも関係は無く、ただただつきまとう悪霊だけが映画の中では現実として我々観客までを殺しに掛かる。特にラスト30分の殺戮ショーはPOV視点が存分に活かされており、まるでバイオハザードで殺されているかのような錯覚を覚えられる残酷描写祭り。しまいには、悪霊側からこちら側を撮ってくる始末。悪霊を覗く時、悪霊もまたをこちらを覗いているってか!?たまったもんじゃないよ!!
皮肉にもその悪霊もまた信仰=祟りによるものだったりするのが余計に話をややこしくさせる。この辺りは考えても確かな答えが無い分いかようにも解釈し得るかと。

精霊は実在する!!ゲゲ
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