若色

THE FIRST SLAM DUNKの若色のレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
4.3
繰り返し、繰り返し読んだスラムダンク。
ラーメン屋に行っても、あればスラダン読んでた。どこから読んでも何巻読んでも面白いからね。

まさか観られるとは思ってなかった劇場版。
オープニングのタッチからやられる。
The birthdayの音楽に痺れる。
鉛筆で描かれる宮城リョータ。
リョータが歩き出す。
この時点で、あ、これ普通のアニメじゃないなってわかる。
アニメでもない、ゲームのようなところもあればCGのような気もする…でもどっかで観たことがある…

気がついた。
これは漫画が動いているんだと。
アニメーションではない。
漫画が動いている。
アニメーションの新しいジャンルだと言っていい。
だから映画公開が2022年になってしまったんだと納得。
井上雅彦監督が見せたかったのはこれなんだ。

蘇る山王戦。
展開も結末も何度も読んだ。だから知ってる。
知ってる。
知ってるのになんてこんなに熱くなるんだろう。

試合の途中汗の匂いさえ感じる画面の迫力。
最後のせめぎ合い。
息もできない。
知ってるのに。ハラハラしてしまう。

山王戦の背景に映し出されるのはメンバー1人の過去。
重い荷物背負って山王戦に挑んだ、メンバーの子どもの頃からのストーリー。

描かれる彼のストーリーは粗い。
私はこれを評価する。
粗くていいのだ。
スラダンほど愛されてしまった漫画は、もう井上雅彦さんの手を離れて、ファンのものになっているといい。
その多くのファンに、想像させる余白を残しているのがこのストーリーなのだ。

漫画を読み返したくて仕方がない。
山王戦だけでない、陵南戦をみたい、海南戦を読みたい。

エンディングの10-FEETもあわせ、こだわりぬいた音楽が最高なので、これは是非劇場で爆音とともに観てもらいたい。
息が止まる体験を。

エンディング、やっと落ち着いて呼吸ができる。
まだする汗の匂い。
汗の匂いはリアルだった。
若い男子が放つなんとも言えないあの匂い。部室の匂い。久しぶりに嗅いだ。
わたしだけじゃなかった。
みんなも熱くなってたんだね。
若色

若色