雨音

THE FIRST SLAM DUNKの雨音のネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

映画『THE FIRST SLAMDUNK』

年末年始にかけて3回鑑賞したこの作品。

学生時代にスラムダンクと出会い、初恋の相手は桜木花道かもしれないという程にのめり込んだこの漫画。

突然訪れた漫画の最終回はやはり衝撃ですごく寂しかった。

あれから時を経て映画化されるというニュースを見た時に複雑な気持ちになったのも事実だ。

アニメの映画化というものは時にガッカリするものもある。

あまりにも大切な宝物だからこそ、その気持ちを閉じ込めておきたい気持ちにもなった。

公開直前になっても全貌は明らかにならず、私は初回鑑賞まで何の情報も得ないままに映画館に向かった。


この感想は途中からネタバレがあるのでネタバレゾーンが来たらお知らせします。





オープニング、ずっと心の中にしまっていた宝物が動き出した瞬間に涙が止まらなかった。

まるで自分の青春が迎えに来てくれたような、待っていてくれたような感覚になり、そこからはもうノンストップにのめり込んだ。

まるで自分も試合の観客席にいるような気持ちでハラハラしたり喜んだり。

エンドロールの最後、井上雄彦監督の名前がスクリーンに浮かんだ瞬間に立ち上がって大きな拍手を送りたい気持ちをグッと抑えて胸の前で強く合掌した。

映画化してくれてありがとう。
ずっと胸の中にしまっていた大切な世界をそのままに届けてくれてありがとう。
スラムダンクに出会えてよかった。

こんなにも清々しい気持ちになった映画は初めてかもしれない。


ここからは少しネタバレを挟みつつ映画のことを振り返っていきたい。

ネタバレゾーン

↓↓↓↓↓↓







前情報なしに観に行った事もあり、映画冒頭のシーンに驚いた。

私のよく見る光景。
沖縄の海沿いのバスケットコート。

私は沖縄県に住んでいるためこの時点でものすごく興奮した。

宮城…たしかに。
後に監督のインタビューを見て知ったのだが、宮城リョータは沖縄がルーツで苗字も沖縄に多い宮城にしたとか。

幼い頃のリョーちんの方言も可愛かったな。

私は3回観に行ったが3回とも上映後の館内で「沖縄だったねー」と驚き喜ぶ声があちらこちらから聞こえてきた。

沖縄で生まれ育った宮城リョータの悲しい過去と現実、そして私が何度も何度も漫画で読んでいた山王戦、この2つの出来事を行き来しながら進んでいく。 

このバランスがものすごく良くて泣いたり笑ったり興奮したり。

山王戦に関しては結末も試合の流れも完全に知っているのに、手に汗を握り必死に応援している自分がいた。
その感情は3回観たどの回も変わらなかった。

近くに座っていた小学生の男の子がシュートが入った瞬間に「やった〜」と声をあげてしまうほどに映画館内の誰もが、スクリーンにいながらあの試合会場にいるような感覚になったのではないだろうか。

宮城リョータ以外のメンバーの説明は少なく、新規の人達には分かりにくいという意見もあるようだけれど、あれ程の作品を観た後はきっと漫画を読みたくなるはずで、漫画を読んだ後でまた映画館に戻りたくなるはずだ。

映画を観て、これからスラムダンクという漫画を一巻からピュアな気持ちで楽しめる人がいる。
それはそれで羨ましいような気にもなる。

物語の進め方、内容もさることながら、この作品のもう一つの魅力は音だと思う。

ボールが床に跳ねる音、リングを潜り抜ける音。

なんといっても後半のリョータの過去から試合に戻って来る時の10-FEETの『第ゼロ感』の入り方。

試合の臨場感から少し離れた心に一気に火をつけるようで、鳥肌が立つ程に好きなシーンだ。

そして試合終了までラスト残り数分の、漫画では伝説とも言われているあの流川と桜木のシーン前の無音…

固唾を飲んで見守る私達の心境を表しているようで…。
心臓バクバクからの号泣ですよ。

あぁなんて素晴らしい作品を届けてくれたのでしょうか。

最近ではあまり会話のなくなった私達夫婦に会話を提供してくださり夫婦で映画館に足を運ぶ日々を与えてくれたこの映画。

世が世なら応援上映を開催していただきゴールに興奮しエンドロールでスタオベしたい程である。

あの音楽アニメとは思えぬ臨場感。
これは劇場で観るべき映画だと心から思う。



そして映画を観た後はぜひ

THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE

こちらも。

https://slamdunk-movie.jp/news/2022121201.html



映画のベースになった絵や文字から監督のこだわりがヒシヒシと伝わってくる。

映画には登場しなかったオバァの言葉も素敵だし、幻の読切作品ピアスも収録。

そしてロングインタビュー。
5年間映画化を断り続けてきた監督が映画化を決めたエピソードがすごくエモい。

エモいって言葉初めて使ったけどきっとこういう時に使うんだよねって思う程に胸熱だった。

心の中の宝箱の蓋がパックリと開いてしまった私たち夫婦は、あれからフィギュアを購入したり(湘南メンバー5人集めるつもりがゴリだけ買えなかった)

数年前に手放してしまった漫画スラムダンクを少しずつまた購入したりして青春を取り戻しております(タイムマシンがあるならばあの時の私を全力で止めたい…)

夢中になれるものを持っているって良いものですね。 
子ども達にもこんな風に胸が熱くなるようなものを持って欲しいなと心から思いました。
雨音

雨音