藤田武彦

硫黄島からの手紙の藤田武彦のレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
2.5
邦画より洋画の方が面白い映画が多い、と感じていた。海外の監督が、日本の役者で撮ったらどうなるか。残念ながら、失敗作だった。

しかしこれは、役者のせいではない。役者は迫真の演技をしている。脚本がシチュエーションとズレており、物語に真実味が感じられない。


「逆!逆!」
渡辺謙が、銃に見立てた棒で、部下を追い立てる。
印象に残るシーンだが、浮かび上がるというより浮き上がってしまっている。

物語の大半が暗い洞窟の中。人物や通路を画面の対角線に置き、伸びのある画面を作る工夫はある。

軍の上下関係の、壁の中での閉塞性を描きたいのなら、他にもやり方があるのではないか。上から下に紙で伝言を伝えたり、ワイヤ経由のスピーカー越しに伝えたりして、非人間性を表現するなど。
藤田武彦

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