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硫黄島からの手紙のMKのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
5.0
敗戦?終戦?記念日が誕生日な自分がなんともひっかかってこの戦争の映画は沢山観てきたつもり。
アジア・太平洋戦争っていうんだっけ?
大東亞戦争の方がしっくりくる。
力士は力士で相撲レスラーじゃないぐらいの感覚で思想はないけど。

戦後75周年

このタイミングで見返した一番の衝撃は加瀬亮くん扮する清水の『人間が悪いんじゃない』というセリフだった。
日本人、アメリカ人の汚いところを曝け出してくれたのは監督の技量と精算への心意気の為せる技な気がする。
でもそれもすべてシチュエーションとタイミングのせい。だからこその『人間が悪いんじゃない』だと思いたいし、相手国の作品がそんな言葉を選んだことがすごいと思った。

猛暑で暑いからといって闇雲にエアコンをかけてしまう自分。
そのくせ食欲がないだのとほざいて冷たいものやアルコールばかり口にしてる自分。
さらにはコロナ禍やらいつもと違う夏だなどと口走っている自分。

いつもと違うどころか人知れず特別で決して消えることのない夏を何度も重ねた先人たちに想いを馳せることは無駄なこと?

翼は傾いていないけど、こんなに暑い夏のひと時ぐらい、一年に一度ぐらい、自分には物思いにふける時間があっていいと思っている。

日本側でこの戦争を扱った洋画を山ほど観たけど、どれよりも和的な感情が伝わってきた。 

「ここはまだ日本か?」

渡辺謙さんの台詞で、それまで何となく観ていたのに、瞬間、涙が溢れた。
戦争の賛否は必要な議論だとは思うけど、たとえフィクションでも、この生き様と死に様は心に止めておきたい。

人ひとりの命が失われる物語でも涙を流すことは山ほどある。
統計には沈めずに絶え間なく想いを馳せていたい。
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