たけちゃん

硫黄島からの手紙のたけちゃんのレビュー・感想・評価

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)
4.1
我々がこの島を守る1日には意味があるんです!


クリント・イーストウッド監督 2006年製作
主演 二宮和也、渡辺謙


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」

3月26日は太平洋戦争末期、「硫黄島の戦い」においての組織的戦闘が終結した日、すなわち、玉砕した日です。


今回は「父親たちの星条旗」に続けて「硫黄島の戦い」に因んで「硫黄島からの手紙」のレビューです。硫黄島の戦いセットレビューの後編になります(。・ω・。)ゞビシッ!!




アメリカ軍と日本軍
戦争に臨むまでの姿が本当に違う

音楽を聴き、酒を飲み、軽口を叩く米兵

それに対し
ちょっと国に帰りたいと口にしただけで
「非国民」と罵られ、殴られ、飯を抜かれる



それでも、戦地に赴くと、晒す姿は一緒です。
銃弾、砲弾から必死に逃げ惑う兵士たち。

ただ、誰のために戦うのか……。
「父親たちの星条旗」で描かれていたのは、国のためではなく、仲間のために戦う姿でした。


しかし、栗林中将は言い放つ!
本国の子供たちが1日でも長く生き延びるために、我々がこの島を守る1日には意味があるんだ、と。

日本兵は本当に国のために戦っているんです。
国民のために戦っているんです。
だから、最後の一兵になるまで、生きて戦え、しかし、生きて帰れるとは考えるな、と語る。


うーん、苦しい。切ない……。
そんな時代に生まれて、生きる者でなくてよかった。
申し訳ないけど、そう思ってしまう。





「父親たちの星条旗」だけを観ると、戦勝国のアメリカが、「僕らだって苦しかったんだよ~」と同情と理解を求めているような姿に感じてしまうんですが、この「硫黄島からの手紙」を合わせて撮ることで、どちらかに肩入れすることのないイーストウッド監督のスタンスが伝わり、とても素晴らしいと思いました。

戦闘シーンは、同じ映像が使われているので、両者の姿が補完され、アメリカ軍のあのシーンの裏側で日本軍がどんな姿だったのかが、見事に描かれていましたね。

良い悪いではなく、できる限り史実に即して淡々と撮る。そして、あとは観てから、それぞれが考えてくれ、と。

なので、戦いの意味や戦争の是非は語りませんが、深く胸に突き刺さるものがあったのは事実です。今から73年前の今日、本当に起こったことなのですから。





アメリカ兵は意思が弱く腰抜けで、敵の「衛生兵」を必死に守る。だから、それを的にするんだと語られますが、その話を聞くと「父親たちの星条旗」の主人公が「衛生兵」だったことを思い出し、両作の繋がりを感じますね。

それにしても、「父親たちの星条旗」で艦砲射撃を行っている時に、摺鉢山でクソを捨てに行っているとは夢にも思わないだろうなぁ……(笑)




こうして硫黄島は落ち、このあと、アメリカ軍は沖縄へと上陸することになり、そして、沖縄戦は6月25日まで続くのです……。